
連帯保証人が借金を支払えなくなったら、任意整理・個人再生・自己破産の申し立てをする・知人や親戚にお金を借りて対処することになります。
連帯保証人が借金を支払えなくなったらこうなる
連帯保証人にはお金を借りた本人と同じ義務が発生しますので、すべての借金の返済義務があります。
債務者の代わりに連帯保証人がすべて返済していくことになるのです。
連帯保証人が借金を払えなくなった時の選択肢
- 自分の貯金や財産を売却して返済にあてる
- 知人や親戚に借金をする
- 個人再生・任意整理・自己破産をする

借金の総額や持っている財産の量によって、行動するべき選択肢が変わってきます。
1.自分の貯金や、財産を売却して返済にあてる
債務者本人が借金を返済できなくなったら、連帯保証人は最初に貯金から支払うことを考えます。貯金が無かった場合は、財産を売却して返済にあてることも考えます。
例えば、ローンの終わっている車・宝飾品・美術品などを売却し、返済にあてます。
不動産(家・土地)を売却する場合
不動産屋に見積りを依頼します。2~3社に見積りを依頼して、高値で買い取ってくれる不動産屋を探すことになります。
ですが実際には自宅を売却する人は多くありません。
”個人再生”という方法を取る事で、家を売却することなく借金を最大10分の1まで減らすことができます。これについては後ほどもう少し詳しく説明します。
車を売却
中古車の買取業者に見積りを依頼します。高値で買い取ってくれる業者を探すことになります。
宝飾品・美術品を売却する
持っている宝飾品・美術品なども売却して、そのお金を返済にあてます。リサイクルショップや質屋に、見積り依頼をします。
生活用品はそのまま
生活必需品はそのままにしている方が多いです。この機に持っている不用品の一切を売却する方もいます。

連帯保証人であるあなたが完済をしても、債務者本人から弁済してもらえる保証がありません。最初は個人再生を検討して、最終的に自己破産を考慮します。
2.知人や親戚にお金を借りる
自身での返済が難しい場合や債務整理をしたくない・出来ない場合は、知人や親戚などにお金を借りて返済にあてることも考えます。
ですが、親族に多額の借金をすると、その後の関係は悪化する事が多いようです。
借金の金額が大きいほど、関係が悪くなっているケースを見ます。

親が資産家などではない限りは、債務整理をして、最後の手段で自己破産をする方が多い状況です。
3.個人再生・任意整理・自己破産をする
債務整理をして、借金の減額をする、またはゼロにしてしまう方法もあります。
債務整理には主に「個人再生」「任意整理」「自己破産」「特定調停」の4つがあります。
特定調停は全て自分一人で手続きを行って相手と交渉する必要がある難しい方法のため、ここでは説明を割愛させて頂きます。
個人再生の特徴
個人再生は、安定した収入があって借金の総額が5,000万円までの方が出来る債務整理です。
個人再生の主なメリット
- 借金の総額が最大で10分の1の金額になる
- 残った借金は3~5年間で返済
- 不動産やその他の財産を手放す必要が無い
最大のメリットは自分の家を手放すことなく、借金を圧縮できることです。「最大で10分の1」まで圧縮できますが、これは借金の総額や持っている財産の評価額によって変わります。
借金額(住宅ローン除く) | 減額幅 |
100万円未満 | 減額無し |
100万円以上500万円未満 | 100万円に減額 |
500万円以上1500万円未満 | 5分の1に減額 |
1500万円以上3000万円未満 | 300万円に減額 |
3000万円以上5000万円以下 | 10分の1に減額 |
詳しくは個人再生のメリットとデメリットのページで書いていますので、こちらを合わせてご参考ください。

ただし、個人再生は債務整理専門の弁護士に依頼することが必要で、弁護士報酬が40万円以上はかかります。
任意整理の特徴
任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接借金の減額を交渉する方法です。仲介には債務整理弁護士が入ります。
裁判所を通さないことで、連帯保証人・債権者ともに手間が少なく、解決までの時間が早いと1カ月で終わるメリットがあります。
任意整理の主なメリット
- 裁判所に申し立てをする必要がない
- 債権者別に交渉をして、借金の減額や将来の利息分をカットできる
- 長期間に渡って借金の返済していた場合、過払い金がないか確認してもらえる
任意整理した例
例えば、3つの消費者金融から総額で500万円の借金を背負うことになったとします。分割返済をしたとしても、利息が1年に60万円ほど必要になってしまいます。
連帯保証人が持っている財産はローン支払い中の自宅くらいしかなく、貯金も50万円ほどしかありません。
そこでもし個人再生することを考えると、借金の総額は150万円ほどに圧縮できそうなことが分かりました。
ここで消費者金融側に、弁護士を通して、
「個人再生をする150万円くらいまで借金が圧縮されることになります。ですが、裁判所を通すとお互い手間も多いので、200万円ほどに減額できませんか?そうすれば、連帯保証人は親族からお金を借りて一括返済するそうです」
と直接交渉します。これが任意整理です。

任意整理でえられる結果は相手との交渉次第で変わります。
債権者側は面倒なことを嫌い、できるだけ多くお金を回収できれば良いと考えるので、お互いの妥協案を探して手を打ちます。
詳しくは、任意整理のメリットとデメリットは?のページも参考にしてみてください。
自己破産の特徴
それでは最後に自己破産についてです。
抱えた借金は全てゼロにすることができますが、そのかわりに家を含む全ての財産を没収されてしまいますので、最終手段になります。
また、デメリットも多く、自己破産後は生活が変わる可能性もあります。
自己破産の主なメリット
- 借金の免責(借金がゼロになる)が受けられる
- 自己破産の手続き中に債権者からの取り立てが止められる
自己破産については、他のページで詳しく書いていますので、合わせてご参考ください。
【関連ページ】
自己破産をするメリットとデメリットは?
自己破産後の生活はどうなりますか?

自己破産は7年に1回しか申し立てることができません。
今回のまとめ
連帯保証人が借金の返済をできなくなったときは、資産を売却する・個人再生・任意整理・自己破産をする・知人や親戚からお金を借りることになります。
債務整理にはそれぞれメリット・デメリットがあるため、きちんとした弁護士・司法書士に納得できるまで説明をしてもらいましょう。

連帯保証人になって借金の返済ができないと、一人で思い詰めていろいろ手を出して、状況をこじらせてしまう方をよくみます。
できれば、債務整理弁護士に相談して自分の状況に合った適切な方法で進められた方が、間違いは無いと思います。