
連帯保証人が借金を返済した場合、債務者本人に請求ができる権利”求償権”があります。
ですが、借金が返せない状態の債務者に請求しても、残念ですが返済してもらえる可能性はほとんどありません。
目次
連帯保証人が借金を返済した場合、求償権を使って債務者本人に請求できる
連帯保証人が債務者に代わって借金を返済した場合は、”求償権”を行使して、債務者本人に全額を請求することができます。
求償権とは?
求償権とは、債務者に代わって借金の返済をした人が持つ権利です。
この権利は、借金を肩代わりした代金を債務者に請求できるものです。
請求できるもの
ポイント
- 肩代わりした借金総額
- 法定利息分
- 支払いにかかった費用(例:財産を売却時にかかった見積料金・弁護士費用など)
- 損害賠償金
法定利息・損害賠償金とは?
法定利息とは、法律で定められている利息のことです。損害賠償金とは借金の返済が延滞することによって、債権者に生じた損害金(遅延損害)のことです。
遅延損害についても、利息×1.46と法律により決まっています。
借金の金額 | 利息 | 損害賠償 (遅延損害) |
~10万円未満 | 20% | 20%×1.46 |
10万円~100万円未満 | 18% | 18%×1.46 |
100万円~ | 15% | 20%×1.46 |
このように、法定利息と遅延損害には利率が法律により決まっています。
求償権には時効がある
注意点としては、求償権には時効があることです。
元の債務者(借主)か連帯保証人側のどちらかが商人だった場合、時効は5年間です。両者とも個人だった場合は、時効は10年間に定められています。

もし元の債務者の居所が分かっていて、それなりの財産が出来上がっていることが分かったら、求償権の時効期間内で肩代わりした借金を請求できます。
できるだけ債務整理弁護士に依頼して、文書を交わして確実に解決することをお勧めします。
債務者への返済請求は内容証明郵便を使いましょう
連帯保証人が借金を完済した後に、債務者に返済の請求を口頭でしても効果がないときは、内容証明を送りましょう。
内容証明郵便とは?
内容証明郵便とは、「誰が誰宛に・いつ・どんな内容の手紙を出したのか」を郵便局が公的に証明してくれるものです。
【関連外部サイト】内容証明 ご利用条件 | 郵便局HP
内容証明郵便・配達証明郵便の費用
- 内容証明郵便費用 430円
- 配達証明郵便費用 310円

この内容証明郵便・配達証明郵便は、どこの郵便局からも利用できます。
債務者が自己破産すれば連帯保証人が肩代わりした借金は請求できる?
債務者が自己破産申し立ての時点で債権者一覧表に連帯保証人を書いて、かつ免責を受けた場合は、求償権を使ってもお金を返してもらうことはできません。
普通は自己破産をする際に、債権者一覧表に連帯保証人の名前を書きます。
そして自己破産手続きが始まれば裁判所側が連帯保証人に通知を出します。こうすることで、連帯保証人は求償権を行使することができなくなります。
もし債権者一覧表に連帯保証人の名前を書いていなかった場合
債権者一覧表に連帯保証人の名前を書いていなかった場合は、借主が免責された借金には該当しないことになりますので、求償権の行使をすることができます。
ですが過去の判例(平成15年6月24日判決・金融法務事情1698号102頁)では、債権者一覧表の記載漏れについても免責の効力は有効になるとされた事例があります。
求償権が使えるかどうかは裁判所の判断になりますので、弁護士に依頼して裁判を起こす必要があります。

求償権を使った裁判を起こす場合は弁護士費用などのお金が30万円以上はかかりますので、訴訟をするのであれば自己破産後に借主がそれなりの財産を築いてからが良いと思います。
連帯保証人が借金を返済できずに債務整理をした場合
もし連帯保証人が借主の借金を返済できず、個人再生や自己破産をした場合は、求償権は失われます。
ですが任意整理については、減額されて残った借金を連帯保証人が支払った場合は、求償権を使ってその同等額を請求することができます。
ただし、借主が債務整理時に債権者一覧に連帯保証人の名前を書いていれば同様に請求することができません。
今回のまとめ
連帯保証人が借金を返済した場合、債務者本人に請求することができる求償権があります。
もし借主が自己破産のときに債権者一覧表に連帯保証人の名前を書いていなかった場合は、求償権をいかして肩代わりした借金を請求することはできますが、訴訟になります。

求償権を使った借金請求はなかなか難しいのが実情です。相手の居所が分かっていれば、試しに訴訟する価値は少しはありますが、失敗すれば弁護士費用だけがかかる結果になります。