
任意整理のメリットは、借金の減額や返済期間の延長が出来ることです。
デメリットは、信用情報機関(ブラックリスト)に載り、5年間は借り入れが出来ないことがあります。
目次
- 1 任意整理のメリットは?
- 2 1.取り立てが止まる
- 3 2.過払い金があればその分が借金と相殺される
- 4 3.これから発生する利息、滞納分利息、遅延損害金、元金がカットされる
- 5 4.裁判所を通さないので解決までの時間が早い
- 6 5.国の広報誌”官報”に個人情報が掲載されない
- 7 6.会社や家族に一番ばれにくい方法である
- 8 7.どんな理由の借金でも利用可能
- 9 8.個人再生・自己破産よりも、弁護士・司法書士費用が安い
- 10 任意整理のデメリットは?
- 11 信用情報機関(ブラックリスト)に5年間登録される
- 12 任意整理が利用できる目安は?
- 13 任意整理が認められる借金額
- 14 任意整理が出来る例・出来ない例
- 15 今回のまとめ
任意整理のメリットは?
任意整理のメリットは多い!
- 弁護士・司法書士に依頼するとすぐに借金の取り立てが止まる
- 過払い金が発生していれば借金額が減る可能性がある
- 未払い利息・遅延利息・遅延損害金・将来利息のカットで借金額が減る
- 裁判所を通す必要がないので解決が早い
- 個人再生・自己破産と違い官報に載らない
- 会社や家族に一番ばれにくい方法である
- どんな理由の借金でも利用可能
- 個人再生・自己破産よりも、弁護士・司法書士費用が安い
1.取り立てが止まる
弁護士や認定司法書士に任意整理を依頼すれば、貸金業者からの取り立て行為がぴったり止まります。
任意整理が依頼されたことを貸金業者にお知らせする”受任通知”を弁護士や認定司法書士が発行すれば、取り立ては行ってはいけないことが貸金業法で定められています。
借金関係のすべての電話・訪問・郵便物が自宅や職場に来なくなります。かわりに、任意整理を受けた弁護士や認定司法書士に届くようになります。

↑このような「債務整理開始通知」をFAXや郵送・内容証明で貸金業者に送ります。
2.過払い金があればその分が借金と相殺される
任意整理では、消費者金融や貸金業者と直接交渉して、”法定利息”で今までの返済取引履歴を元に再計算をします。法定利息は、法律で10~100万円までは18%・100万円以上は15%と決まっているものです。
つまり、貸金業者が法律で決められた利息よりも高い利率で貸し付けていた場合、法定利息で計算しなおすと、「本当の借金額はこれくらいに少なくなっていました」となる事があります。
例えば、現在の借金残高が300万円、過払い金が150万円発生していた場合は、350万円-150万円=150万円が本当の借金残高になります。
返済期間が10年以上続いていた場合、昔は法定金利を超えた利息を取っていた業者が多かったので、過払い金が発生している可能性が高いです。
返済していた期間が長いほど、「実はもう借金は支払い終わってました。逆に過払い金があったのでお金を取り戻せます」というケースもあります。
特に平成18年より前に借りていたお金に関しては、この過払い金が多く発生している可能性が高くなっています。
3.これから発生する利息、滞納分利息、遅延損害金、元金がカットされる
もし過払い金が無くても、これから発生する利息や、既に滞納している利息支払い分、遅延損害金がカットできる可能性があります。
例えば300万円をカードローンで借り入れしていたとすれば、平均的な金利は年14%前後です。この場合に支払わなければいけない利息は、1年で42万円にもなります。
もし5年返済の契約だとしたら、支払う利息合計は約118万円にもなります。(しかも順調に返済できればの話ですが)また、返済が滞納すれば年20%の遅延損害金も発生しています。
ですが任意整理をすることで、ほとんどの解決ケースでこれらの”将来利息”や”遅延損害金”がカットすることができています。
また、債務者(お金を借りた人)の状況や交渉しだいでは、元金が数割減ることもあります。
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残った借金は3年~5年をかけて返済していきます。交渉次第では7年、10年で和解するケースもあります。
4.裁判所を通さないので解決までの時間が早い
任意整理では裁判所を通しませんので、面倒で複雑な手続きや書類が必要ありません。
貸金業者との直接交渉と和解契約だけで済みますので、解決までの時間がほかの債務整理方法に比べて早いこともメリットです。
具体的には、自己破産・個人再生が6ケ月から1年、任意整理は1カ月~3カ月ほどで和解契約へもっていくことができます。
5.国の広報誌”官報”に個人情報が掲載されない
任意整理では個人情報が一般に漏れることがありません。
もし自己破産や個人再生をした場合、1日に3回発行される国の広報誌”官報”に、破産者リストや再生者リストとして個人情報の全てが掲載されてしまいます。
官報はインターネットで見ることもできますので、会社によってはこれをチェックしていることもあり、債務整理をしていることがバレてしまう可能性があります。
【関連外部サイト】官報インターネット版
6.会社や家族に一番ばれにくい方法である
任意整理では「官報」に掲載されないこと、取り立てに関する書類や電話が届かないことで、会社や家族から一番ばれにくい方法です。
裁判所にも行く必要もありませんし、基本的には依頼した弁護士・認定司法書士がほとんど全ての手続きを行ってくれます。
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7.どんな理由の借金でも利用可能
任意整理では、借金が返済できなくなった理由がどんなものであれ、利用することができます。
自己破産の場合は理由が問われて、それが”免責不許可事由”にあてはまっていれば、自己破産が認められないこともあります。個人再生でも小規模個人再生では、債権者(お金を貸して返してもらえない人)の許可が必要になって、反対されて失敗に終わるケースもあります。
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8.個人再生・自己破産よりも、弁護士・司法書士費用が安い
他の債務整理方法に比べて手間が少ないぶん、弁護士・司法書士費用が安くすませられるメリットもあります。
自己破産や個人再生の場合は30万円ほど必要になりますが、任意整理の場合は依頼時の着手金4万円前後に加え、成功報酬を合わせて15万円ほどから利用できます。
交渉によって減らせた借金額に応じて料金が変わる仕組みになっている事務所が多くなっています。一括で支払えない場合は、ほとんどの事務所で分割の支払いに対応しています。
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借金問題・債務整理専門の弁護士の場合、最初の相談料が無料になっている事務所も多くなっています。
任意整理のデメリットは?
デメリットは少ない!
- 信用情報機関(ブラックリスト)に5年間登録される
- 5年間新しく借入ができない
- 5年間は新しくローンが組めない
- 任意整理したクレジットカードやETCは利用できなくなる
信用情報機関(ブラックリスト)に5年間登録される
任意整理で一番大きなデメリットは、信用情報機関(ブラックリスト)に掲載されてしまうので、5年間新たにクレジットカードを作ったり借り入れをすることができなくなります。新規ローンを組むこともできません。
既に組んでいるローンや、利用中のクレジットカード・ETCカードはそのまま使うことが出来ます。ですが、任意整理したクレジットカードは利用できなくなります。
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任意整理は自己破産や個人再生に比べるとデメリットが少ない債務整理方法です。借金が増えて困っている人には、メリットの方が多くなっています。
任意整理が利用できる目安は?
債務整理で任意整理を選択する場合は、なにが目安になるでしょうか?
実際に任意整理をするか悩んだときは、以下の4つのポイントに当てはまるかチェックしてみましょう。
任意整理選択の目安
- 法定利息で再計算した債務額が3年間で返済できるか?
- 返済期間が3~5年間に延長されれば返済ができる
- 借金額は少ないのに利息分の返済が続いて、元金(債務額)が減らない
- 不動産や車などを手放したくない
この4つのポイントに当てはまる多くの方が、任意整理を選択しています。
任意整理が認められる借金額
借金がどのくらいまで膨れ上がれば、任意整理対象になるかご存知でしょうか?
これは、借金の総額が手取り年収から居住費を引いた金額を上回っていた場合です。
例えば、手取り年収300万円のサラリーマンがいたとします。この方の居住費は年間72万円。手取り年収から居住費を引くと、228万円です。もし228万円を1年間で返済するとしたら、毎月19万円も返済しなければいけませんので、支払い不能と見なされます。
長期間返済契約にしていると返済不能借金額は上がる
ですが、今のカードローンやキャッシングの返済回数は80回(約6年半)まで設定されできる会社が多くなっていますので、一般のサラリーマンであれば、借金総額が500万円を超えていることが任意整理やその他の債務整理方法を検討する目安になっている状況です。
支出の状況、家庭の事情も考慮されることもある
とはいえ、支出の状況は人それぞれ違います。介護、医療にお金が毎月かかっていれば、生活費が圧迫されて返済に回せるお金も限られます。
借金総額200万円でも任意整理をする方もいますので、節約をしても返済が苦しくて生活が破たんしそうであれば、事情を話して任意整理や他の債務整理手続きを行うと、認められる可能性は高いです。
夫の金遣いが荒くて借金が返済できない場合
中には、「妻側の方は地道に働いているのに、夫側の金遣いが荒くて借金返済が家計を圧迫して生活が苦しい」という方もいます。この場合は、任意整理を依頼しても「夫に会心してもらうか先に離婚を考えた方が良い」という話になります。
任意整理が出来る例・出来ない例
任意整理は誰でもできるようにCMで宣伝していることを見かけますが、実際には、無収入・収入が不安定な場合は出来ない可能性もあります。
任意整理ができた例
債務者Aさん | 金額 |
手取り年収 | 192万円 (月16万円) |
居住費 | 年48万円 (月4万円) |
借金総額 | 400万円 |
Aさんは複数のカードローンで借金総額400万円に膨れ上がりました。利息も入れると、80回払いでも毎月の返済額は利息を入れると約8万5,000円です。返済期間が長いので、利息だけで合計約285万円も払うことになります。給料から居住費と借金返済額を引けば、生活費は3万5千円しか残りませんので、生活はほぼ破綻寸前でした。
ここで任意整理をした結果、これから発生する利息はカットできることになりました。
借金400万円を利息なしで80回払いにしてもらったことで、毎月の返済額は5万円に。家賃を差し引いた生活費は7万円残るようになったので、返済しながら普通の生活が送れるようになりました。
低収入で任意整理出来た例
債務者Bさん | 金額 |
手取り年収 | 144万円 (月12万円) |
居住費 | 年36万円 (月3万円) |
借金総額 | 300万円 |
過払い金 | ▲150万円 |
Bさんは女性事務パート職員で、年収が多いとはいえません。300万円のカードローン借金がありますが、80回払いにしていても毎月の返済額は約6万円。利息合計が214万円にもなります。
家賃を差し引いた生活費が3万円でギリギリの生活を送っていました。
ですが、この借金は10年以上前から返済をずっと続けていたもので、任意整理をして引き直し計算をしたところ、利息の払い過ぎによる過払い金が150万円発生していました。
結果、借金残高は150万円、これから発生する利息もカットされることになって、月々の返済を4万に減らして3年で完済しました。

この例のように、収入が少なくても任意整理ができる可能性はあります。「自己破産しかないのかな?」と諦める前に、弁護士や司法書士に相談してみましょう。
任意整理が出来なかった例
債務者Cさん | 金額 |
手取り年収 | 失業につき無し |
居住費 | 年48万円(貯金から支払い) |
借金総額 | 300万円 |
Cさんは、無収入のため借金300万円を3年間で返済出来る見込みはありません。任意整理では定期的な収入があることが条件にもなります。結果的には自己破産をすることになりました。
借金はゼロになり、自己破産後に就職して、普通の生活を送ることが出来ています。

無収入だと任意整理をしても返済できる見込みがないので、自己破産せざるを得ません。ですが、平成8年以前からずっと返済を続けている借金がある場合は、過払い金が発生しているかもしれません。過払い金が借金額を上回っていれば、自己破産をせずに任意整理で解決できる可能性は高いです。
今回のまとめ
任意整理のメリットは、取り立てが止まる、過払い金が発生していれば借金額が減る可能性が有る、利息カット・元金減額が見込める、裁判所を通さないので解決が早く官報に載らない、会社や家族にばれにくい、どんな理由の借金でも利用できることです。
デメリットは、ブラックリストに載るため5年間新しく借入ができないことです。

任意整理で借金問題が解決しても、お金に対する考え方、使い方を変える必要があります。
二度と同じ事を繰り返さない方法は、絶対に借金をしないことです。