雨宮先生雨宮先生

自己破産は、借金の支払い不能状態と裁判所に認められた人が行うことができます。
支払い不能認定には、一般的な基準がありません。債務者の財産・信用・技能・年齢・職業・給料などを総合的に見て判断します。

どんな場合に自己破産ができるのか?

それでは、どんな場合に自己破産できるのかご紹介します。

自己破産するためには、裁判所に「この人には借金の返済が不可能だ」と認めてもらう必要があります。
裁判所は支払不能かどうかを、主に5つのポイントを元にして認定の判断をします。

ポイント

  1. 資産がない、または資産が少ない(資産を売却しても借金額の返済には足りない)
  2. 借金の返済に2年以上かかる
  3. 継続的な安定した収入がない(収入額が少ないため、借金の返済をすると生活ができない)
  4. 借金を返せなくなった理由がまっとうなものである
  5. 資産がある場合、全て開示して管財人に協力的である

よく問題になるものが、2番目の「借金の返済に2年以上かかる」、4番目の「借金を返せなくなった理由がまっとうなものである」と5番目の「資産がある場合」です。

借金の返済に2年以上かかるとは?

「自己破産が認められるために借金の返済に2年以上かかる」という状況は、一応の目安はあります。

借金の総額が、手取り年収から住居費を引いて三分の二を掛けた金額を上回っていた場合です。

自己破産可能な借金額の目安

返済に2年以上かかる具体例

借金返済に2年以上かかる具体例

手取り年収280万円、月5万円の賃貸アパートに住む人だとすれば、借金の総額が150万円ほどあれば自己破産が認められるか検討される範囲には入り始めます。

普通の勤め人で150万円ほどの借金で自己破産をする人は多くはありませんので、あくまで”検討される範囲の借金である”と強調しておきます。

実際に自己破産をする人は、この2倍以上の借金を抱えていますし、裁判所によってはもっと借金額が多くないと免責が認められにくいケースもあります。

支払い不能認定について

自己破産上では、返済できなくなったと認められることを”支払い不能認定”と言います。

先ほど挙げた例は何度も書きますがあくまで”目安”で、実は裁判所側では一定の基準はありません。

このことについては、後でもう少し詳しく書きます。

まっとうな理由、自己破産が認められない理由は?

自己破産が認められる借金理由

「借金を返せなくなったまっとうな理由」ですが、例えば事業が景気に大きく左右されて悪化して借金が返せなくなった場合は、まっとうな理由になります。

ですが、ギャンブルや娯楽で浪費したあげく、働いてもいない場合は、まっとうな理由とは言えません。この場合は”免責不許可事由”に該当しますので、免責が受けられない可能性が高くなります。

自己破産免責が認められない理由として、過去の不許可の事例をまとめてみましたので、参考にしてください。

自己破産免責が不許可になった借金の理由

  • ギャンブル、高額な食事やエステの為にお金を使っていた(生活水準に合わないお金の使い方をしている)
  • キャバクラやホストに通うためにお金を使っていた
  • 資産で借金の返済が可能であるのに、故意に資産を隠していた
  • 故意に債権者を隠していた
  • ローンの支払いが残っている物を売却した(ローンの残っている車を友人に安価で売却した)
  • 破産管財人に協力しない(資産を勝手に売却した、管財人が売却できないように資産を移動した、弁護士費用の支払い拒否など)
  • 引っ越しを制限されていたのに、勝手に引っ越しをした(管財事件で、引っ越しの制限を受けた場合)

この例を読んで、「お金の使い方に心当たりがあるから、自己破産できない」と悲観しないでください。
お金の使い方と生活を改善して、自己破産の申し立て時に裁判所に反省文を提出すれば、免責が認められる可能性が残っているのです。

裁判官の裁量免責によって、実際には自己破産をした90%の人が免責を受けられています。
そして、不許可になった場合でも、高等裁判所に“即時抗告”(不服の申し立て)を行うことで免責の許可がおりることもあるのです。

【関連ページ】
自己破産が認められる借金・認められない借金は?
自己破産手続きで裁判所に提出する反省文はどんなもの?

雨宮先生雨宮先生

自己破産という制度は、借金の支払いのために人並みの生活ができない人を救済するための制度です。そして、自分のお金の使い方が間違っていないか考えてみて反省文の作成をしましょう。

売却できる資産がある場合(管財事件)

もし、ある程度の資産を持っている場合は、“管財事件”となりますので、財産の売却をするための管財人(弁護士)を付けることになります。

ですので売却できる資産を持っている場合、最初から弁護士に依頼することをお勧めします。
なぜなら、弁護士に依頼した場合、最初から不許可にならないように自己破産の手続きを有利に進めることが可能だからです。

自己破産手続きを開始したら財産処分権を失う

売却できる資産を持っている場合は、”管財事件”として扱われ、破産者は自分の財産の処分権を失います。

破産者に代わりに管財人(弁護士)が、破産者の財産の処分権を持ちます。そして、財産の調査・管理・売却・債権者への弁済などを行います。

【関連ページ】自己破産で資産(財産)に該当するもの・しないものは?

雨宮先生雨宮先生

自己破産の手続きは、裁判所に提出する書類の作成だけでも大変です。法律知識の無い人が一人で申し立てをした場合、書類の不備や不足などで手続きが中止になることもあります。

支払い不能認定の基準は?

返済支払いができない金額

免責不許可事由と管財事件について大まかにご説明したところで、先ほど説明を保留にした”支払不能認定基準”について説明します。

支払い不能認定基準とは「この人はもう借金を返済していく能力は無い」と裁判所が認定するものです。ですが、支払い不能認定には明確な基準がありません。
主に、債務者の財産・信用・技能・年齢・性格・職業・給料を総合的にみて判断します。

もし、借金が100万円と小額であっても、「借金額が少ないから自己破産は無理」と諦めないでください。
借金額の多い少ないにかかわらず、個人の支払い能力を考慮して”支払い不能”の認定をするか決めています。
そして、2年以内の返済が不能であれば自己破産ができるのです。

自己価破産が出来る人・出来ない人の例

もし、借金額が同じ金額であっても、その人の取り巻く状況によって自己破産が出来る人と出来ない人に分かれます。

実際に、破産の申し立てを行った方の例をご紹介していきます。自分に当てはめて自己破産を申し立てた場合、免責許可がもらえるかの参考にしてください。、

自己破産が出来るAさんの例

  • 収入15万円(月額)
  • 借金総額300万円
  • 毎月の返済可能額3万円
  • 2年間の返済可能合計額72万円(3万円×24ケ月)

Aさんは特殊技能が無いパートタイマーで、月収は15万円です。生活を切りつめても、毎月の返済限界は3万円であることが認定されました。

つまり、300万円を返済するのに2年以上かかるので自己破産が出来ます。

自己破産ができないBさんの例

  • 収入35万円(月額)
  • 借金総額300万円
  • 毎月の返済可能額15万円
  • 2年間の返済可能合計額360万円(15万円×24ケ月)

Bさんは月収が平均年収より高く35万円です。300万円という大きな借金を抱えています。

ですがこのBさん、実は浪費癖があって、借金を返す余裕が無いほど娯楽や嗜好品にお金をつぎ込んでいたことがわかりました、
裁判所側からはちょっと生活費を切り詰める努力をすれば毎月15万円ずつの返済は十分に可能という事が分かって、自己破産は認められませんでした。

自己破産が出来ないCさんの例

  • 収入21万円(月額)
  • 借金総額300万円
  • 資産:車2台・ブランド物のバッグ数点(売却価格:180万円)
  • 資産を売却した残りの借金額:120万円
  • 毎月の返済可能額:6万円
  • 2年間の返却可能合計金額144万円(6万円×24ケ月)

Cさんは月収は少な目ですが、売却換金できる資産があることが分かりました。それらを踏まえて返済額を計算した結果、2年以内に返済できる事が分かったので、自己破産は認められません。

雨宮先生雨宮先生

このように、自己破産は誰にでも認められることではなく、「いろいろな正当な理由があって返済が出来ずに困っている方のために作られた制度」です。


今回のまとめ

自己破産をするために特別な条件はありません。支払い不能認定は、個人の経済状況などにより変わるため、一般的な基準はありません。

ですが、「借金の返済に2年以上かかるか」が1つの目安となっています。

雨宮先生雨宮先生

自己破産の制度は、借金の返済のために普通の生活が出来ない方の為にあります。
自分が自己破産できるかどうかは、債務整理専門の弁護士に相談されることもお勧めします。