
任意整理をして一括払いで借金を返済すると、借金の元金の減額交渉ができるメリットがあることをご存じでしょうか?
今回は、一括払いのメリットと注意点について説明していきます。
目次
任意整理で一括払いをすると2~3割減額できる可能性が生まれる
任意整理で借金を一括払いにすると、消費者金融・ローン会社・貸金業者との交渉次第では借金の2~3割程度の減額ができるメリットがあります。
「一括払いにするとなぜ減額ができるのか?」と疑問に思われますよね。
これは、一括払いで完済することには貸付側にもメリットがあるためです。
一括払いで完済することによる貸付側のメリット
ポイント
- 債務者(借主)に自己破産されて回収できなくなるリスクが無くなる
- 将来利息の無い毎月の返済よりもまとまったお金が回収できる(運用できるお金が増える)
- 分割返済途中で債務者が何らかの事情で返済不可能になった場合の未回収分のリスクが無くなる
この3つのメリットを考えて貸付側は、一括返済をすることで借金総額の2~3割の減額交渉を受ける可能性が高くなります。
逆に、任意整理をして将来分の利息をカットをして、長期間で返済をされた場合は、貸付側にはほとんどメリットもありません。返済が長期になるほど、回収できない可能性も高くなるからです。
ですが一括払いで回収できると、貸付側は得られたお金で次への運用ができるメリットがあるのです。

減額に応じない消費者金融・ローン会社・貸金業者もいます。
債務整理専門の弁護士・司法書士に依頼した時に、貸付側の名称を伝えて「一括払いにした場合S社とA社は減額に応じますか?」と減額が可能か確認することもできます。
任意整理で一括払いをするときの注意点
任意整理で一括払いをする場合は、1社だけを一括払いすることが出来ません。
なぜなら、”債権者平等の原則”という法律があり、「債務者は、債権者(貸付側)を平等に扱わなくてはならない」と定められているからです。
ですから、一括払いするなら全債権者に対してする必要があるのです。
例えば、「1~2社分だけ一括払いして、他社は毎月の返済を続けていく」ということが認められていないのです。すべての借金を一括払いできない場合は、減額や支払期間の交渉をして毎月支払っていくことになります。

任意整理をする場合は、すべての借金をする必要はありません。
ですが、一括返済をするときはすべての借金を一括返済する必要があるため注意しましょう。
任意整理で一括払いで減額に成功したケース
例:Aさん 33歳 男性
Aさんは、3社から借金をしていましたが昨年から残業が大幅に減ったため、返済に困り任意整理を決断しました。弁護士に任意整理を依頼して、過払い金の計算と一括払いでの減額交渉をしてもらいました。
一括返済にした場合の借金額が310万円から200万円に減ったので、Aさんは車を売却して60万円と親から140万円を借りて返済することにしました。
Aさんは、毎月親に3万円を返済して貯金も2万円ずつ初めて、急な出費があっても借金をしないで済むように堅実な生活を心がけて生活しています。
結果は借金の支払総額が200万円になり110万円の減額に成功しました。
項目 | A社 | B社 | C社 | 合計 |
元の借金額 | 140万円 | 80万円 | 90万円 | 310万円 |
過払い金で 戻る金額 |
▲28万円 | ▲5万円 | 0万円 | ▲33万円 |
一括払い交渉で 減額できた金額 |
▲30万円 | ▲20万円 | ▲27万円 | ▲77万円 |
一括返済金額 | 82万円 | 55万円 | 63万円 | 200万円 |

親族や知人にまとまったお金を借りられる場合は、一括返済による減額をお勧めします。
ですが、返済できないのに無理にお金を借りてしまうと、人間関係を壊してしまうので注意しましょう。
今回のまとめ
任意整理で借金を一括払いするメリットは、借金の元金を2~3割減額できることです。
ですが、”債権者平等の原則”の定めがあるため、すべての借金を一括払いできない場合は選択できません。
ですから、すべての借金を支払えるまとまったお金が用意できる場合のみ、メリットがある返済方法です。

親族や知人に無理をしてお金を借りて、一括払いをする必要はありません。
それよりも、自分の収入にあった返済プランを弁護士や司法書士に相談して貸付側に交渉してもらいましょう。