雨宮先生雨宮先生

個人再生を利用して返済途中で収入の減少やその他の事情により支払いが出来なくなったら、2つの救済制度があります。

再生計画中に支払いが出来なくなるとどうなる?

再生計画中に支払いができなくなった
再生計画が始まってから支払いが難しくなった場合は、以下の救済制度があります。

2つの救済制度

  1. 支払期間を2年延長する延長する
  2. ハードシップ免責で残りの債権を免除してもらう

この2つの救済制度を利用するにも条件があり、”やむを得ない事情”の場合のみ利用が可能です。

もしこの救済制度が難しい場合は、自動的に破産手続きが開始される可能性があります。

やむを得ない状況とは?

返済が滞ったやむを得ないと認められる事情について説明していきます。

やむを得ない事情

  • 急な病気による入院・治療のために長期間に渡り無収入になった
  • 怪我により入院や治療のために長期間に渡る無収入になった
  • 勤め先の業績が悪化したりリストラによって収入が大きく減額された
  • 個人経営で営んでいた店舗が火災により無くなり再就職が難しい

【関連ページ】個人再生の返済期間が3年以上を認められる事情は?

支払期間の延長ができる

やむを得ない事情で支払いが難しくなったときに支払期間の延長ができます。この延長は「2年以内まで、ただし完済時に70歳をこえない事」と定められています。

再生計画の変更(延長)が認められるまでは3ケ月程度かかることを覚えておきましょう。

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再生計画の変更や相談は、担当した弁護士に再び相談をします。

例:Aさん 男性 35歳 再生計画案 120万円

Aさんは、毎月33,334円の返済を続けていました。ですが、会社の都合でリストラされて転職をしたため収入が減り、毎月の支払いが難しくなりました。
そして、支払期間を1年延長して支払方法を変更しました。

項目 毎月の支払い額 完済までの期間
再生計画案 33,334円 残り24ケ月
1年延長した場合 22,222円 残り36ケ月
2年延長した場合 16,667円 残り48ケ月

Aさんの場合は、1年を延長して返済計画の変更をしました。それでも支払が難しい場合は、2年以内まで延長ができます。ただし、合計で最大5年以内になります。最初の返済計画で5年にしている場合は、そこからは延長できません。

個人再生で残った借金は利息が発生しませんので、返済期間が延長できれば、毎月の返済額を少なくすることができます。

また、完済になる時期が70歳をこえていないことが条件になります。

再生計画変更(延長)の手続き

再生計画変更(延長)の手続きは、裁判所に申立をする必要があります。提出する書類は以下の3つです。

  1. 再生計画変更申立書 1通
  2. 直近3ケ月分の家計収支表
  3. 収入が減った場合は給料明細
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この申立により、返済期間は延長できますが、弁護士費用が個人再生申立時と同じくらい必要となるため、注意しましょう。

支払い機関の延長が難しい場合

支払期間を2年延長しても返済が難しい場合は、”ハードシップ免責”が適用されるか条件を確認してみしましょう。

ハードシップ免責とは?

ハードシップ免責とは、再生計画の債務者(お金を借りた人)に責任がない事情で支払が出来なくなったときに、それまで頑張って返済してきた努力を無視して、自己破産に追い込んで免責手続きをさせるのはあまりに無情なために出来た制度です。

つまり、「やむを得ない場合はお情けを出しますよ」という制度です。

ですが、利用するためには以下の3つの条件が設定されています。

ハードシップ免責利用の条件

  1. 債務者に責任のない事情があるとき
  2. 返済総額の4分の3以上を返済しているとき
  3. 免責が一般の利益に反しないとき
  4. 返済計画の変更が難しいとき

1.債務者に責任のない事情とは?

これは、上記で説明した”やむを得ない事情”が該当する場合です。
例えば、債務者が交通事故や障害事件を起こして慰謝料が必要になり支払いが難しくなった場合は、利用できません。

2.返済総額の4分の3以上の返済をしている

これまで返済している総額が、完済までの4分の3以下の場合は、利用できません。
例えば、400万円の内300万円以上を返済していないと利用を出来ないのです。

ハードシップ免責が利用できない場合は、支払期間を延長して返済を続けていきます。

3.免責の決定が一般の利益に反しないとは?

債務者が免責を受けた場合に、一般(債権者)が不利益(損害)を受けないということです。
つまり、自己破産した場合に債権者に配当される金額以上の返済をしている必要があります。

4.返済計画の変更が難しいときとは?

返済計画の変更が難しい状況とは、長期入院中で今後も収入の見込みがなく、期間を延長しても返済することが出来ない状況のことです。

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このようにハードシップ免責を利用するには、厳しい条件が設定されています。

もし、上記の条件の1.3.4.を満たしていて「もう少しで返済総額の4分の3になるとき」は家族や友人に足りない分を借りて、4分の3まで返済してハードシップ免責の利用ができます。

住宅資金特別条項を定めた個人再生の場合マイホームはどうなる?

住宅資金特別条項を定めた個人再生のマイホーム

住宅資金特別条項を定めた個人再生の場合は、ハードシップ免責を利用するとマイホームを手放すことになります。

ハードシップ免責を利用することによって、住宅ローンも免責されます。ですが、抵当権や担保権を持つ債権者(銀行)により売却されてしまうのです。

そのため、マイホームを残したい方は返済方法を延長するまたは、家族や友人に助けを求めることになります。

ハードシップ免責を利用する場合、「借金が免責される」ことだけに捕らわれず、マイホームを手放すことを承知のうえで決断をして下さい。

ハードシップ免責の手続き

ハードシップ免責を利用する場合は、裁判所に免責申し立てを行います。必要書類は以下の4つです。

ハード湿布免責に必要な書類

  1. 免責申立書 1通
  2. 返済できないことを証明する書類
    ※診断書・領収書・口座取引明細書など
  3. 収入印紙 600円分
  4. 予納郵便切手 300~400円程度
    ※各裁判所により違います

【関連リンク】免責申立書の書式

この免責申し立て費用は1000円ほどですが、弁護士に依頼することをお勧めします。なぜなら、ご自身で書類の準備をすると不備があった場合、ハードシップ免責が認められません。

この免責申立に対しては、債権者の同意は必要がありません。そのため、条件を満たしている場合はほぼ認められています。

このハードシップ免責の手続きには、弁護士費用が個人再生申立費用と同じくらい必要なため、注意しましょう。

理由がなく返済を続けなかった場合どうなる?

理由がなく返済をし続けなかった場合は、債権者により再生計画の取り消しの申し立てや強制執行が行われる可能性があります。

再生計画の申し立ての取り消しがされる

支払が遅れてしまった場合、ペナルティが課されます。

例えば、債権者から裁判所に再生計画を取り消す申し立てをされる可能性があります。この再生計画の取り消しは、総債権額の10分の1以上を占めている債権者が申し立てる権利を持っています。

この取り消しの申し立てが裁判所で認められると、破産手続きが開始されます。
債権者によっては、1回支払いが遅れただけで申し立てる可能性があるため、注意が必要です。

ですが実際には、1回支払いが遅れただけで裁判所に取り消しの申し立てをする債権者はほとんどいません。万一のため支払い日が過ぎてしまったときは、すぐに債権者に「支払が遅れて申し訳ありません、〇日に振り込みます」と連絡を入れることをお勧めします。

雨宮先生雨宮先生

債権額が10万円以上ない債権者は、この再生計画取り消しの申し立ては出来ません。

債権者により強制執行をされる

支払が延滞したことにより、債権者に強制執行をされる可能性があります。ですが、債権者は簡易訴訟や支払督促をして債務名義を取得する必要があるため、強制執行には多少の時間がかかります。

ですから、強制執行されないためにも返済が遅れてしまったときは、債権者に謝罪と振り込み予定を連絡しましょう。

雨宮先生雨宮先生

1~2回程度の支払いが遅れても強制執行される可能性は低いのですが、何回も支払が遅れるようですと強制執行される可能性が高くなります。ですから支払いが遅れることのないように注意しましょう。

個人再生が取り消されたら任意整理を考える

もし、自分の責任で個人再生が取り消しになり自己破産をしたくない場合は、任意整理を考えて下さい。

任意整理のメリットは以下の3つです。

1.職業の制限を受けない

自己破産の場合は、職業の制限を受けるため専門職についている方は破産期間は他の仕事に就くことになります。

2.再度の利用に期間制限がない

自己破産の場合は、再度利用するまで7年間を開けなくてはなりません。任意整理は期間制限がないため、7年以内でも利用できるメリットがあります。

3.自己破産手続きよりも弁護士・司法書士費用が安い

自己破産手続きにかかる弁護士・司法書士費用は20~40万円程度ですが、任意整理では1社につき3~4万円と減額報酬として10~20%程度です。

これらのメリットを考慮して、自己破産か任意整理かを検討してください。

【関連ページ】任意整理のメリットとデメリットは?

債務整理(借金整理)を利用する上で重要なこと

借金整理で気を付ける事

すべての債務整理(借金整理)に言えることですが、責任を持って完済することを目標にしましょう。
「借金が減額されて返済が楽になり、取り立てからも解放されて気持ちが軽くなってしまう」方も中にはいらっしゃいます。

例えば、Bさんはギャンブル依存症があり借金の返済が難しくなり個人再生を利用しました。再生計画が開始した当初は、節約しながら堅実に生活を続けていました。

ですが、再生計画案通りに返済を続けていく内に「少しくらいギャンブルに使っても大丈夫だろう」と生活費をギャンブルに使い始めてしまいました。その内に、負けが続いてしまい生活費を切り詰めてもギャンブル用に資金が用意できなくなり、返済用のお金を使い込むようになってしまったのです。

そして、たびたび返済が遅れることが多くなり、債権者から個人再生の取り消しの申し立てがありました。
その結果、Bさんは自己破産をすることになってしまったのです。

このようにならないように、十分に気を引き締めて返済を続けていくことが大切なのです。

雨宮先生雨宮先生

借金を負ってしまった理由は、それぞれ違うと思います。
ですが、債権者(貸主)に迷惑をかけて借金の減額をしてもらったことを忘れずに返済をしていきましょう。

今回のまとめ

個人再生の返済中に支払いが難しくなった場合、その事情によっては返済期間が2年以内であれば延長できます。そして、債務総額の4分の3を返済している場合はハードシップ免責制度を利用できる可能性があります。

ですが、支払いが遅れたのが浪費によるものや理由がない場合は、再生計画の取り消しや強制執行をされる可能性があります。再生計画が取り消されたときは、任意整理も選択できます。

任意整理で減額をしても返済が難しい場合は、自己破産の手続きで資産やマイホームは処分されてしまいます。

雨宮先生雨宮先生

個人再生を利用すると、マイホームや資産を残せるメリットがあります。

やむを得ない事情で返済ができなくなった場合は、返済期間延長やハードシップ免責などの救済制度を検討してください。