
「個人再生を利用するなら小規模個人再生と給与所得者再生のどちらを利用すべきなんだろう?」と悩む方も多いと思います。
今回は、2つの個人再生の特徴と債務者の事情によっててどちらを選ぶべきか説明していきます。
個人再生は2つから選ぶ
実際に個人再生を利用する場合は、小規模個人再生と給与所得者再生のどちらかを選ぶことになります。最初に、この2つの個人再生の特徴について説明していきます。
小規模個人再生の特徴
小規模個人再生は継続して収入があれば利用が可能ですが、債権者の反対意見が半数以上の場合には利用できません。そのかわり、再度の利用をする場合に制限がないメリットがあります。
小規模個人再生の返済方法は、自己破産した場合に債権者に配当される金額か最低弁済基準額の高い方になります。
【関連リンク】小規模個人再生の返済方法については、小規模個人再生の返済方法は?を参考にして下さい。

小規模個人再生を利用は、個人事業主や給料所得者が利用できます。ですが、無職や生活保護費を受給している場合は利用ができないため、注意しましょう。
給与所得者再生の特徴
給与所得者再生は継続して安定した収入が条件になっているため、利用できる方が公務員やサラリーマンなどと限られています。
ですが、債権者の反対意見を確認する必要がないメリットがあるため、債権(借金)総額の半額以上の債権者が個人再生に反対意見を持っている場合はこちらを選択できます。
小規模個人再生よりも返済額が少し高くなる
給与所得者再生の返済金額は、自己破産をした場合に債権者に配当される金額・最低弁済基準額・可処分所得のいずれか高額なものになります。
ですから、高収入だと可処分所得も高額になる可能性が高いため、小規模個人再生よりも返済額が高くなりやすいのです。
可処分所得の算出方法については、給与所得者再生の返済金額は?を参考にして下さい。

返済額が安くなる小規模個人再生から考える人は多い傾向ですが、債権者にとっては給与所得者再生の方が分配額が多くなるので、小規模~の方で申し立てると反対されることがあります。
高収入の場合は小規模個人再生を選ぶべき?
給与所得者で高収入な場合は、小規模個人再生から検討することがお勧めだと思います。
必ずしも、小規模個人再生の方が減額が大きくなるとは限りませんが、収入が高いと給与所得者再生の方が返済金額が大きくなる可能性が高くなってしまいます。
なぜなら、給与所得者再生の返済金額は、高収入の場合可処分所得になる可能性が高いためです。
収入が高額でない場合は、小規模個人再生と減額の差がつかない可能性もあります。どちらかを選択する前に、弁護士にどちらが自分に合っているのか相談してみましょう。
個人再生に反対意見を出す債権者がいる場合
もし債務者の反対意見が多い場合は、給与所得者再生をお勧めします。
現在では、小規模個人再生に反対意見をだす業者はほとんどいませんが、一部の業者は徹底して反対意見をだしてくることがあります。
反対意見を出しそうな業者の見分け方は、弁護士や司法書士に確認してみましょう。債務整理を専門に扱っている弁護士や司法書士は、過去に反対意見を出してきた業者が債権者の中にいないかを調査してくれます。
小規模個人再生では、債権者の半数または、債権総額の半分以上の債権を持つ債権者の反対意見があると利用ができません。ですから、債権者の意見を確認する必要のない給与所得者再生を利用することになります。

過去に反対意見を出した債権者の確認をするためにも、借金問題に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
おまとめローンが債権にある場合
おまとめローンの債権がある場合は、給与所得者再生を利用しましょう。なぜなら、おまとめローンは債権総額の半分以上である可能性が高いためです。
債権総額の半分以上の債権を持っている債権者がいる場合は、小規模個人再生に反対する可能性があるため、意見徴収の必要がない給与所得者再生の利用をお勧めします。
給与所得者再生の利用条件を満たせずに利用が出来ない場合は、弁護士に小規模個人再生以外の債務(借金)整理がないか相談しましょう。
債権者が小規模個人再生に反対する理由は?
「なぜ債権者が小規模個人再生に反対をするのか?」と疑問に思いますよね。これは、債権者が、ローン審査時などの情報から債務者の収入を把握していて給与所得者再生が可能な事を知っているからです。
主な理由としては、小規模個人再生よりも給与所得者再生の方が債権者が回収できる債権額が大きいことです。
つまり、債権者は少しでも多くの債権を回収したいため小規模個人再生を反対するのです。
収入が不定期の場合は?
収入が不定期の場合は、小規模個人再生を利用しましょう。
なぜなら、収入が不定期でも、再生計画案の金額を実行できる場合は、小規模個人再生を利用できます。その場合、3ケ月に1回の返済方法で返済をしていきます。
Aさんの返済例を参考にしてください。
Aさんの返済例:33歳 女性 返済金額120万円(100,000円×12回)
月 | 収入 | 生活費 | 返済額 |
6月 | 174,000円 | 50,000円 | |
7月 | 52,000円 | ||
8月 | 178,000円 | 54,000円 | 100,000円 |
9月 | 50,000円 | ||
10月 | 180,000円 | 53,000円 | |
11月 | 57,000円 | 100,000円 |
この表のように、収入が不定期の場合は3ケ月に1回のペースで3年間返済をしていきます。

上記の金額で返済が難しい場合は、5年間計画で認めてもらえるかを弁護士に相談してみましょう。個人再生では、裁判所に認められた場合は最長5年間での再生計画が可能です。
今回のまとめ
個人再生を利用する場合は、半数以上または債務総額の半分以上を持つ債権者が反対意見を出してこないのであれば、小規模個人再生をお勧めします。なぜなら、返済金額んが少額になることや再度の利用に制限がないため利用するメリットが大きいからです。
小規模個人再生で債権者からの反対を受ける可能性がある場合は、給与所得者再生をお勧めします。ですが、再度の利用に7年間の制限が必要なことや、返済金額が可能性を覚えておきましょう。

個人再生弁護士とよく相談して自分にとってどちらがいいのかを考えて決められることをお勧めします。