
「借金の返済に困って借金整理・債務整理を弁護士に依頼すると費用はいくらかかるのか?」
今回は、任意整理・過払い金請求・個人再生・自己破産の4つの債務(借金)整理でかかる費用について、説明をしていきます。
目次
弁護士費用に含まれるものは?
弁護士費用に含まれるものは、法律相談料・着手金・報酬金・実費・日当の5つの費用です。
5つの弁護士費用について
1.相談料
弁護士と相談するための費用です。
弁護士事務所にもよりますが、1回または30分から1時間ごとの料金設定をしています。30分5,000円が相場です。
ですが借金問題や債務整理の相談料は、初回無料などで受け付けている弁護士事務所も多くなっています。
2.着手金
着手金は、案件に取り組んでもらうために支払う費用です。
この費用は、結果の成功・不成功に関わりなく返金はされません。つまり、弁護士に仕事をはじめてもらうための初期費用になります。
どの方法で借金整理・債務整理をするかによって着手金額が変わり、無料~10万円以上などさまざまです。(過払い金請求の場合は着手金無料が多い)
着手金は分割払いも可能ですが、一括払いをしたときよりも割高になる可能性があるため、差額を確認してから支払い方法を決める必要があります。
3.報酬金
報酬金は、基本報酬と成功報酬があります。
この成功報酬とは、和解金・示談金・慰謝料の金額や、借金を減額した金額に対して10~20%程度の設定がされています。
は
つまり、減額ができない・慰謝料を取れなかった場合には、発生しない費用なのです。
また、訴訟になった場合はプラス5%で設定している弁護士事務所が多くなっています。
弁護士事務所により料金設定が違います。着手金が安くても、報酬金の%が高額設定されていると弁護士に支払う費用が変わってくるため、注意が必要です。
4.実費
実費は、裁判所の申し立て手続きに必要なもの・弁護士が仕事で使用した交通費・宿泊費・通信費などがあります。
この実費は、どの程度の費用がかかるのか相談時に確認しておきましょう。
5.日当
日当は、弁護士が遠方にある裁判所や役所などの手続きや債権者と交渉をしに行く場合に発生します。この費用には、移動時間も含みます。
日当の計算方法は、時間計算の他に1回いくらという回数での計算方法もあります。弁護士に相談しに行ったときに日当についての計算方法も確認をしておきましょう。

弁護士に借金問題を相談したときには、普通であれば費用についての説明をしてもらえます。
各弁護士事務所によって費用設定が違いますので、もしなるべく安くおさめたい場合には、複数の事務所に相談することも考えなければいけません。
任意整理にかかる弁護士費用は?
任意整理を弁護士に依頼したときにかかる費用は、1件毎に3~5万円程度かかります。各事務所で料金設定が違うため、費用も変わってきます。
項目 | A社 | B社 | C社 |
着手金 | 49,800円(件) | 30,000円(件) | 35,000円(件) ※1社のみの場合は50,000円 |
成功報酬 | 19,800円(件) | 0円 | 30,000円(件) |
減額報酬 | 減額の10% | 減額の12% | 減額の5%円 |
それでは、上記のA~C社の料金設定を元に、Eさんの任意整理の例で説明をしていきます。
Eさん 3件の任意整理で120万円の減額に成功した場合の弁護士費用の例
A社に依頼した場合の費用
(着手金49,800円×3)+(成功報酬19,800円×3)+(減額報酬10%×120万円)=328,800円
B社に依頼した場合の費用
(着手金30,000円×3)+(減額報酬12%×120万円)=234,000円
C社に依頼した場合の費用
(着手金35,000円×3)+(成功報酬20,000×3)+(減額報酬5%×120万円)=225,000円

上記のように、A~C社を比較すると10万円以上の差があります。ですが、借金整理の実績が豊富な弁護士に依頼することで、減額幅が変わることもあります。
過払い金請求にかかる弁護士費用は?
過払い金請求を弁護士に依頼する場合は、着手金を請求しない弁護士事務所が増えました。主に必要な費用は、成功報酬と過払報酬の2つです。
項目 | A社 | B社 | C社 |
着手金 | 0円 | 0円 | 0円 |
成功報酬 | 19,800円(件) | 0円 | 0円 |
過払報酬 | 回収額の20% | 回収額の20% ※訴訟は25% |
回収額の20% |
この過払い金請求を依頼するときは、借金を完済していることが条件になります。なぜなら、返済途中であると任意整理の手続きとなるため、”着手金”が発生するためです。
過払い金請求で、債権者が大幅な減額を提示して満額を支払う意思が無い場合は、訴訟になる場合もあります。その場合は、過払報酬が高くなる可能性があるため訴訟になったときの報酬を確認しておきましょう。
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個人再生にかかる弁護士費用は?
個人再生を弁護士に依頼した場合の弁護士費用について説明していきます。この費用は、住宅ローン特則を利用するかで費用が10万円程度変わってきます。
項目 | A社 | B社 | C社 |
住宅ローン特則なし | 500,000円 | 300,000円 | 300,000円 |
住宅ローン特則あり | 600,000円 | 400,000円 | 360,000円 |
事務手数料 | 30,000円 | 30,000円、 | 30,000円 |
実費 | あり | あり | あり |
個人再生の実費は、財産の鑑定料や裁判所の申し立てにかかる収入印紙や郵便切手第も含みます。

個人再生は手続きが複雑で手間も多いので、債務整理の中では一番料金設定が高くなっている傾向です。
自己破産にかかる弁護士費用は?
自己破産を弁護士に依頼した場合の費用は、事務所によって着手金や経費の設定が違います。以下に最近の弁護士費用の比較表を作成しましたので、参考にして下さい。
項目 | A事務所 | B事務所 | C事務所 |
着手金・報酬 | 400,000円~ | 300,000円 | 同時廃止 220,000円~ 少額管財 300,000円~ |
事務手数料 | 25,000円 | 25,000円 | 25,000円 |
実費 | あり | あり | あり |
自己破産の弁護士費用は、同時廃止・管財事件になるかによって料金が変わってきます。その他に、財産の鑑定料や裁判所に出頭する際に日当がかかる場合もあります。

自己破産手続き費用は、凄く安い事務所だと20万円ちょっと、高いと30万円台後半が相場です。また、財産の有る無しで費用が少し変わる事もあります。
裁判が必要な案件は近場の弁護士に依頼する
個人再生や自己破産の場合は、近場の弁護士に依頼をする方が良いと思います。
なぜなら、地方裁判所での手続きが必要なため、着手金に実費や日当が含まれていない場合は、遠方の弁護士だと費用が高額になってしまうためです。
つまり、近場の弁護士に依頼すると日当や実費が安くすませられるのです。
以下に、1回裁判所に出頭するためにかかる費用を比較した表を作成したので、参考にして下さい。
項目 | 遠いA社 | B社 | C社 |
日当 | 30,000円 | 10,000~15,000円 (近場の裁判所以外) |
10,000円(事務所から~30キロ) 15,000円(事務所から30~50キロ) |
実費(交通費・宿泊費) | 実費分 | 実費分 (近県以外の場合) |
実費分 |
上記の表のB社やC社に依頼した場合、近場であればA社よりも費用が安くなります。ですから、弁護士を選ぶときはこの”日当”の設定条件を確認することも重要です。

せっかく費用の安い弁護士に依頼しても、出廷するたびに宿泊費や日当が発生すると総額費用は高額になってしまうのです。弁護士選びには、なるべく近場であることも考慮した方が良いです。
ですが、近さだけで選んでしまって失敗することもありますので、注意が必要です。
【関連ページ】問題有り、怪しい弁護士事務所の特徴や見分け方は?
弁護士費用は分割支払いも対応している
決して安いとは言えない債務整理・借金整理の弁護士費用ですが、現在では多くの事務所で弁護士費用は分割払いにも対応できるようになりました。
このまま借金の利息が増えたり新たな借金を増やしてしまうよりは、早目に弁護士に債務整理を依頼して、借金を軽くして新たなスタートを切ることができるメリットもあります。

借金返済が滞りはじめれば、基本的にはさらに借金が増えていく一方です。
もし自分だけで解決できない場合は、専門家に頼ることも考えて良いと思います。
今回のまとめ
借金整理を弁護士に依頼した場合、相談料・着手金・報酬・実費・日当と5つの費用が発生します。この費用の設定料金は、弁護士事務所により違うのです。
そして、任意整理・過払い金請求・個人再生・自己破産でも設定料金が変わってきます。そのため、弁護士費用も、事務所によっては10万円程度変わることがあるのです。

弁護士費用の説明をしてきましたが、費用以外にも人柄や実績も大切なことを忘れないで下さい。