
過払い金請求中に訴訟に発展すると、期間が半年から長いと1年かかります。
余程の理由が無い限りは、和解提案の内容をみて慎重に検討して、和解した方が良いと思います。
目次
過払い金請求での和解とは?
貸金業者から提案される過払い金いついての和解とは、主に”満額の過払い金は支払えませんが、早く解決しましょう”という内容のものです。
貸金業者が提案してくる和解内容
- 「借金も過払い金も無し、いわゆる”ゼロ和解・貸し借り無し和解”」
- 「過払い金の利息分のカット」
- 「過払い金を満額の7割程度を速やかに支払う代わりに手間を無くす」
1.ゼロ和解・貸し借り無し和解
借金の返済額が残り少なく、その段階で過払い金請求をした場合に、「じゃぁ残りの借金は帳消しにします。その代わりに過払い金もゼロになりますが、この条件ならすぐに手続きしますよ」というものです。
この和解提案を出されて来たら要注意です。
例えば、もし借金の残りが30万円で過払い金が100万円もあったら、差し引き70万円。さらに1年間5%の利息も乗せる事ができますので、もし完済してから8年経っていれば、70万円+(70万円×5%×8年)=98万円の過払い金が戻ってくることになります。
過払い金は貸金業者と取引していた期間が長ければ長いほど、金額は多くなります。取引期間が2年くらいで借金が少ないのであれば和解したほうが良いことが多いのですが、5年から10年も返済し続けていた場合は、過払い金がかなり多く発生している可能性は高いのです。

ゼロ和解・貸し借り無し和解を提案されたら慎重になってください。弁護士ともよく相談してください。
2.過払い金の利息分のカット
過払い金が発生していることがわかって金融会社に請求する場合、1年間5%の利息を消費者から請求することができます。
過払い金利息の具体例
例えば、貸金業者に支払っていた利息金額が合計100万円だったとします。過払い金請求をして、法で定められている利息制限法の利率で再計算したら、支払う利息は実は40万円で済むことがわかりました。この場合60万円多く利息を払い過ぎていたことになります。
さらに、「貸金業者さん、私のお金を長い間預けていたんだから、1年間5%の利子を付けて返してもらいますよ」と追加請求することができるのです。
過払い金はなるべく支払いたくない貸金業者
ですが、貸金業者側は、「なるべく過払い金の支払いを抑えたい」と常に考えています。
そこで、「過払い金の5%の利息分をカットしてもらえるのなら、余計な手間をかけずにすぐにお支払いしますよ」と和解提案を申し出てくることがあります。
この利息分は5%といっても、過払い金請求時効ギリギリの10年前の過払い金であればかなり高額になります。60万円の過払い金の利息は、10年で30万円にもなるのです。

もし早期に過払い金請求問題を解決したい場合は、「5%の利息はおまけしてあげるか」と和解合意して、新たな生活をスタートさせることがメリットになる場合もあります。
訴訟になると長引きますし、弁護士費用もかさんでいきます。
3.過払い金を満額の7割程度を速やかに支払う代わりに手間を無くす
過払い金の請求をすると、「弊社ではそういった話し合いは受け付けておりません」「じゃぁ訴訟まで起こして頂いても構いません」「弁護士でもなんでも雇ってください」と請求交渉を突っぱねてくる強気な貸金業者もいます。
ですがこれは貸金業者が過払い金の支払いを少なくするテクニックで、最終的には「じゃぁ取引期間中の7割の過払い金はすぐにお支払いしますから。そちらも訴訟の手間もかからなくて楽ですよ。その方がお互い良くありませんか?」と過払い金を少なくして和解を求めてくることがあります。
訴訟は面倒だし手間も費用も増える
「訴訟」と言われると、誰でも「厄介で面倒そう」「何回も裁判所に行くのかな」「弁護士費用も沢山かかりそう」と不安になります。
確かに実際訴訟にまでなると、面倒な書類を準備する必要がありますし、解決するまで半年以上かかるケースが多く、不安で弁護士を立てる費用が30万円ほど必要になります。

現実には満額の過払い金+利息を取り戻せることはあまり無いので、ほど良い条件で妥協する選択肢も持っておくと良いと思います。
あまりに低い過払い金の和解提案をしてくることも
ですが、「過払い金は3割・5割なら貼ら得る」という数字を和解提示してきたり、取引履歴を短くして過払い金を少なく見せかける貸金業者もいます。
この場合は、借金問題に慣れている弁護士や司法書士にしっかり相談すると、過払い金を多く取り戻せる可能性が高くなります。
【関連ページ】債務整理や借金相談は弁護士と司法書士どっちに相談すればいいですか?
過払い金和解交渉時に心がけることは?
過払い金請求交渉では、取り戻すお金や減額の最低ラインや妥協点をあらかじめ決めておくことです。
過払い金は多く払いすぎていた利息を取り戻すもので、法律でも定められた権利です。
とはいえ、元々はその金利で借りることを納得して貸金業者は赤の他人にお金を貸してくれたわけです。
さらに、貸金業者も生き残るために必死で、できるだけ過払い金の支払いを抑えようとしています。
こういった状況から考えると、いくら法で守られた制度を行使するとはいえ、正面からぶつかって過払い金請求交渉を行使すれば、場合によっては揉め事が大きくなったり手続きがスムーズに進まなくなることは当然として考えられます。
和解提案での妥協点を考えておく
ですので、過払い金があるからと思っても過度に期待せずに、「利息の5%分は妥協してもいいか」「8割取り戻せれば良しとしよう」など妥協点を決めておくと、訴訟まで発展せずに早期に解決できやすくなります。
交渉する相手は金融の知識に長けたプロです。交渉もしたことがなく、金融の知識も乏しい個人が相手だと、相手のペースに呑まれてうまく丸め込まれてしまうことは多いようです。
もし弁護士や司法書士に依頼していたら
もし過払い金請求交渉のために弁護士や司法書士に依頼していたら、その分の費用がかかることも忘れてはいけません。そのことも考慮して、和解の最低ラインを決めておきましょう。
弁護士や司法書士に過払い金請求交渉を依頼すると、貸金業者も「法律家が出てきたか・・」と尻込みして、個人で行うよりも手続きがスムーズになりやすくなります。
慣れない専門家に依頼すると納得いかない結果になることも
ですが、借金問題や過払い金請求に慣れていない弁護士や司法書士に依頼すると、自分が思っていたよりもかなり低い和解で合意せざるを得なくなることもあります。
過払い金・借金問題・債務整理相談の実績が多い弁護士や司法書士に依頼すると、納得がいく結果は得られやすくなります。
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今回のまとめ
過払い金請求では、なるべく訴訟を避けて、取り戻すお金や減額の最低ラインや妥協点を決めて貸金業者と交渉をしてください。
貸金業者は金融の知識に長けて交渉に慣れているプロです。
過払い金請求は個人でもできますが、相手のペースに乗って丸め込まれてしまうケースは多いので、実績のある弁護士や司法書士に依頼すると過払い金問題は早期解決が期待できます。

弁護士・司法書士費用が高いから個人で過払い金請求に挑戦した人から「過払い金が少なすぎるから何とかできませんか?」と相談を受けるケースもあります。
もし1度和解に合意してしまえば、その後は再び過払い金請求することは難しいので、余程自信が無い限りは弁護士や司法書士に依頼することをお勧めします。