
今回は、弁護士・司法書士に、借金・債務整理相談をできる各窓口の特徴と注意点について、説明をしていきます。
借金の相談内容や経済状態によって最適な相談窓口を探す
「借金問題で債務整理を相談したいけど、どんなところに相談すれば安心なんだろう?」と思った場合、債務整理の内容や個人の経済状況によって最適な窓口を選ぶべきです。
たとえば、自己破産を考えているのに裁判所の手続きができない司法書士に相談した場合は、再度弁護士に相談に行く手間がかかりますし、弁護士(司法書士)費用を用意できないのに相談に行っても、法テラスへの相談を勧められる可能性があるからです。
ですので、自分の借金・債務整理の相談をするには、何処に行くべきかを予め知っておいて、余計な手間を省きましょう。
それには、相談に行く前に各相談窓口のメリット・デメリットを理解しておく必要があります。
借金・債務整理を相談できる窓口の特徴について
現在では、相談窓口して弁護士事務所・司法書士事務所・弁護士会・司法書士会相談センター・法テラス・市役所があります。この窓口の特徴について説明をしていきます。
事務所等 | メリット | デメリット | 詳細 |
弁護士事務所 | 1. 予約が取れればすぐに相談・依頼が可能 2.法律の専門家のため裁判手続きがスムーズに進む 3.自宅や会社の近くで探せる 4.問題が解決するまで継続して相談できる 5.相談時間外でも対応してくれることがある 6.借金整理では無料相談が可能な事務所が多い
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1.電話での予約ができないことがある 2.最終的にどのくらいの費用がかかるのかわからない 3.法律相談料が別途かかることがある |
法律に詳しいからと言って、借金問題に強いとは限りません。 借金問題に強い弁護士を探す必要があります。 |
司法書士事務所 | 1.予約が取れればすぐに手続きに入れる 2.法律関係の書類作成を依頼できる 3.自宅・会社の近くで探せる 4.問題が解決するまで継続して相談できる 5.借金問題では無料相談が可能な事務所が多い |
1.電話での予約ができない場合がある 2.債務総額140万円以上の案件は依頼できない 3.裁判所の手続きは、書類作成のみになる(認定司法書士なら、債務総額140万円までの案件は簡易裁判所の手続きが可能) |
法律関係の書類作成を主な仕事としているため、債務関係の手続きが強いとは限りません。 借金関係の実績のある専門家に依頼する必要があります。 |
弁護士会・司法書士会相談センター | 1.専門家が対応してくれる 2.費用分かり易い 3.相談した担当者に依頼ができる 4.相談料が無料 |
1.すぐに予約が取れないことがある 2.担当した弁護士(司法書士)が自宅から遠い場合がある |
自分で弁護士を選べないため、借金問題に強い専門家を紹介されるとは限りません。 |
市役所 | 1.専門家がアドバイスを受けられる 2.相談料が無料 |
1.予約が取りずらいことがある 2.相談日時が決まっている 3.同じ内容の相談は1回までと制限がある 4.相談時間が25~30分と制限がある |
無料相談はできますが、債務整理をするためには自分で専門家を探すことになるため2度手間がかかります |
法テラス | 1.無料相談が可能 2.弁護士(司法書士)費用の立替が利用できる 3.専門家が適切な対応をしてくれる |
1.利用するための条件が厳しい 2.利用するために相談日の後に、審査会に出席する必要がある 3.審査結果が出るまでに2~3週間かかる |
法テラスで手続きをすると、紹介された弁護士(司法書士)に手続きを依頼することになる。
自分で法テラスに援助登録している弁護士(司法書士)に依頼する方法でも、無料相談・費用立替が利用できる。 |

上記の表にあるように、各法律相談窓口にはメリット・デメリットがあります。140万円以下の借金問題・任意整理・過払い金請求ならば、認定司法書士に相談しても構いません。
ですが、140万円を超えるな過払い金請求・自己破産・個人再生を考えている場合は、弁護士に相談する必要があります。
代理人(弁護士・司法書士)には隠し事をしない!
代理人(弁護士や司法書士)には、すべての債務・資産・収入について隠さずに話してください。なぜなら、隠し事をして手続きを進めて途中で事実が発覚すると免責が不許可になったり、代理人から債務整理の手続きを辞任されてしまうからです。
例えば、自己破産の免責許可の申立をしている場合、書類に虚偽の内容があると”免責不許可事由”にあたります。この免責不許可事由には、債権者や財産を意図的に隠すことが含まれているのです。
”免責不許可事由”については、自己破産免責が許可されるケース、されないケースと理由は?で詳しく説明しています。
隠し事は弁護士・司法書士の信頼関係を失い途中辞任される可能性も
そして、隠し事をしてしまうと代理人(弁護士・司法書士)との信頼関係も壊れてしまう可能性があります。借金問題を抱えていると「少しでも財産を手元に残したい」「こんなに借金があるなんて恥ずかしくて言えない」と、財産や債務額を隠してしまう方がいます。
ですが、あなたの味方である代理人(弁護士・司法書士)に隠し事や嘘をついて、発覚時に「なぜ正直に言ってくれなかったのですか?こちらはあなたの話を信じて仕事をしているのに」と辞任されてしまい、他の代理人に依頼する必要がでてきます。この場合、最初に依頼した代理人に支払った着手金は戻らないことが多いのです。
そして、新しい代理人を探して着手金を支払うため、結果として時間と費用の無駄になってしまうので絶対に隠し事をしないようにしましょう。

弁護士・司法書士に依頼契約をした時に、”受任契約の解除条項”を渡されます。この内容をきちんと理解して、代理人に辞任されないように注意してください。
そして、自分が相談しやすい信頼できる方に債務整理を依頼することも重要です。
多重債務者を食い物にする提携弁護士(司法書士)に注意
債務整理の専門家のなかには、金儲けを目当てに多重債務者を食い物にする提携弁護士(司法書士)と呼ばれる人達がいます。最も多い手口は、”借金を一本化できます”という広告を出しているNPO法人・カウンセリングセンターなどと提携していて、知り合いの弁護士や司法書士を紹介されます。
この弁護士(司法書士)は、一部の債権者(業者)と裏で提携していることもあります。そして、債権者(業者)に有利な内容で示談をまとめて依頼者には高額な弁護士(司法書士)費用を請求してきます。
借金問題の相談は、最初から借金問題を専門としている弁護士(司法書士)事務所に相談に行くことがベストです。
大手事務所なら安心?
最近では、債務整理のテレビCMを放映している大手事務所も増えていますが、「大手だから安心だろう」という考えは危険です。実際に、「大手事務所に依頼したけど、債務整理の手続きが進まず高額な費用を請求された」との報告もあります。
そして、大手事務所は他の事務所よりも広告費をかけている分、設定費用も割高な場合が多いことも覚えておきましょう。
もし、弁護士(司法書士)と契約してからトラブルが発生したら、各相談窓口に相談をしましょう。
【関連外部サイト】
日本弁護士連合会
日本司法書士会連合会

代理人選びは、借金問題や債務整理に強い実績のある専門家を探して下さい。大手事務所が悪いとは言いませんが、「大手だから安心」ではないことを覚えておきましょう。
今回のまとめ
借金・債務整理相談をするときは、自分の相談内容に合った窓口を探しましょう。そして、弁護士(司法書士)には隠し事をしないで下さい。
なぜなら、借金の免責が不許可になる・代理人(弁護士・司法書士)が辞任する可能性が高いからです。NPO法人や民間機関に相談すると、業者側に有利に進める・高額な費用を請求してくる”提携弁護士(司法書士)”を紹介される可能性があるため注意しましょう。
弁護士(司法書士)に相談する場合は、大手事務所だからと安心しないで丁寧に対応してくれる事務所を探して下さい。
最初から借金問題・借金整理を専門としている弁護士や認定司法書士に相談することをお勧めします。

くれぐれも軽い気持ちで相談というのは止めるようにしてください。
弁護士や司法書士もお仕事ですから、本気で相談して解決しようとしてくれる人には本気で対応してくれます。
人間同士のやり取りということを忘れないで、礼儀を持って接するようにしましょう。