
皆さんは、保証人と連帯保証人の違いをご存じでしょうか?
連帯保証人の方が責任は重くなります。
目次
保証人と連帯保証人はどう違う?
保証人とは?
保証人は債務者(借りた本人)が返済できない場合に債権者から返済請求をされます。
ですが、債務者に売却できる財産がある場合には、「本人に返済可能な資産があるため強制執行して下さい」と反論できます。これを”催告の抗弁”と言います。
また、債務者が返済できる財産や資産があるのにもかかわらず、支払いを拒否した場合は、債務者に強制執行を主張できます。これを”検索の抗弁”と言います。
つまり、借金の返済責任の1番は債務者でその次が保証人になるのです。

といってもちょっと分かりにくいですよね。
「借主 > 保証人」という感じです。
借主が返せない場合は、保証人が「財産使ったりしてちゃんと返しなさい」と言ったり、強制執行できたりします。0
連帯保証人とは?
連帯保証人には、債権者と”同等の返済責任”が課せられます。債務者が支払いをしなかったり連絡がつかなくなると、債権者から返済を迫られます。
つまり、連帯保証人は自分がした借金ではなくても、返済責任は債務者と変わらないということです。

つまり「借主=連帯保証人」です。
借主が返せなくなったら、連帯保証人は反抗する術がありません。
連帯保証契約の解除(無効・錯誤・取り消し)が出来るケース
連帯保証人になってしまったけれど「名義を勝手に使用された」「契約内容の説明が違い騙された」などの場合は、返済する必要がありません。
ですが、返済責任がないからと言って放っておいても解決はしないため注意しましょう。この解除は、債権者宛に内容証明郵便を送付するまたは、専門家に依頼することが必要となります。
【関連外部サイト】
消費者生活センター
金融サービス利用者相談窓口
それでは次に、連帯保証契約の解除(無効・錯誤・取り消し)が出来るケースを説明していきます。
1.勝手に印鑑を押したり代筆された契約
債務者や債権者が勝手にあなたの名義を代筆したり、実印を悪用した連帯保証契約は、契約自体の”無効”を主張することが可能です。
つまり、あなたに”保証の意思”が無いのに勝手に契約をされたため、契約自体は無効となるのです。

この連帯保証契約は、本人の意思確認を行うことが前提になっていますので、代筆・勝手な押印は無効となります。ですが、債権者も簡単には納得しない悪徳な金融業者のケースが多いため、弁護士に相談しましょう。
2.説明不足や勘違いによる契約
保証契約内容の説明不足や自分の勘違いで、連帯保証人になってしまった場合。”錯誤”による解除が可能な場合もあります。
ですが、口頭でのやりとりだけでどちらに責任があったのか分かりにくいため、手続きは難しくなります。
もし、勘違いするような言動があっても債権者からは「契約書に内容を記載してありますよね」と言われてしまうのです。ですから、債権者が納得しない場合は訴訟になる可能性が高いため、弁護士に相談することお勧めします。

もし、少額の保証金額であれば弁護士費用や実費のほうが高額になってしまう可能性もあります。まずは、弁護士事務所に無料相談でどのくらいの費用がかかるのか確認してから依頼しましょう。
3.詐欺による契約
「連帯保証契約と知らずに署名した」「自分の収入や資産では保証できない金額の連帯保証人にされた」「50万円の連帯保証契約だと思っていたら、1000万円」など、詐欺によって連帯保証契約をしてしまった場合は、詐欺が原因のため”取り消し”をすることが可能です。
ですが詐欺による連帯保証契約を解除するには、債権者側に納得してもらう必要があるため、「債務者に騙された」という理由だけでは解除が難しいのです。
この場合は、自分にかわる連帯保証人を探して債権者が認めた場合のみ、連帯保証契約を解除することができます。
4.脅迫されてした契約
債権者から「署名・押印しないと会社に毎日押しかけてやる」「契約をしないと殴るぞ!」と脅迫されてした連帯保証契約の場合は、”取り消し”が出来ます。
暴力や脅迫による契約は、刑事事件の「脅迫罪・強要罪」になる可能性が高いため、弁護士に依頼する必要があります。
5.未成年者による契約
20歳未満の未成年者がした連帯保証人契約の場合は、”取り消し”が可能です。ですが、以下の6つの項目に該当する場合は取り消しができないため、注意して下さい。
契約者が未成年でも連帯保証人の取り消しができないケース!
- 未成年者本人が「成人しています」「親権者からの同意を受けています」と嘘をついた
- 親権者からの同意があった
- 親権者から事後承諾があった
- 婚姻している未成年者
- 未成年時に契約して成人してから5年が経過した
- 未成年時に契約をして成人した後に承諾の意思を示した
6.親が勝手に未成年者を連帯保証人にした契約
もし親が勝手に未成年者を連帯保証人にした場合は、本人(未成年者)に返済責任が無いため、契約は”無効”となります。
ですが、成人した後に連帯保証契約を承認してしまうと”無効”にできないため、注意が必要です。

実際に、親が子供を勝手に連帯保証人にして、親が「行方不明になった」「会社が倒産してしまった」ことにより、未成年者に返済請求がいったケースもあります。ですから、”親だから大丈夫”と安心せずに、解除の手続きをしておきましょう。
連帯保証契約の解除(無効・錯誤・取り消し)手続きについて
上記で説明した連帯保証契約の解除や取り消しの手続き方法を、表にしましたので参考にして下さい。
項目 | 手続き名 | 手続き方法 | 備考 |
勝手にされた契約 | 無効 | 弁護士に相談 | 内容証明や話し合いでは、債権者側が納得せずに訴訟になる可能性が高いため弁護士に相談する必要があります |
説明不足・勘違いでした契約 | 錯誤 | 〃 | 〃 |
詐欺による契約 | 取り消し | 〃 | 〃 |
脅迫されてした契約 | 取り消し | 〃 | 〃 |
未成年者による契約 | 取り消し | 「未成年がした契約のため取り消しを請求します」という内容の書類を郵便局から”内容証明郵便”にて債権者に送付します | この通知で債権者が納得しない場合は、金融庁や弁護士に相談して下さい |
親が勝手にした契約 ※未成年者の場合 |
無効 | 「自分には”保証する意思”がないのに勝手に連帯保証契約をされたため”無効”の手続きを請求します」という内容の書類を郵便局から”内容証明郵便”にて債権者に送付します | 〃 |
【関連リンク】
内容証明(日本郵便)
内容証明郵便や通知者の書式については、上記のリンクに詳細がありますので参考にして下さい。
連帯保証契約の解除手続きは、内容証明郵便で出来る場合もあります。ですが、債権者が納得せずに返済を請求してくる場合は消費者生活センターや金融サービス利用者相談窓口に相談して下さい。
返済をしてしまうと保証義務が発生するため注意しましょう!
上記で説明した自分に責任がない連帯保証契約の場合でも、1回でも、1円でも返済をしてしまうと”保証契約の意思”があるものとされて返済義務が発生してしまうので、注意が必要です。これを”追認(ついにん)”と言って、連帯保証人であることを認めてしまったことになってしまいます。
債権者や取り立て業者からのしつこい連絡や脅迫に負けて「とりあえず1回くらい返済してもいいか。払った後で今後の事を考えよう」となってしまう方もいますが、まずは返済せずに、悪質な取立を警察に通報するか、弁護士に依頼して取り立てを止めましょう。

悪質な脅迫やしつこい取り立てに困ったときは、証拠を準備して警察の生活安全課に相談に行きましょう。それでも、収まらない場合は弁護士に相談して下さい。
今回のまとめ
元の債務者が借金を返済できない・しなかった場合、保証人は催告の抗弁と検索の抗弁を利用して、元の債務者に再度支払いを請求したり、支払いの強制執行をすることができます。
連帯保証人の場合は、債務者と同等の返済義務を背負うことになりますので、保証人が持つ催告の抗弁や検索の抗弁は利用できません。

保証人・連帯保証人、どちらも結局は返済を迫られることに変わりは無くて、返済できずに困って悩んでいる人が多い現状です。
この場合は、個人再生(民事再生)、任意整理、自己破産の3つの借金・債務整理方法があります。
詳しくは連帯保証人になっている場合の借金・債務整理方法は?のページもご参考ください。