
抱えている金融会社からの借金が多いほど、おまとめローンより債務整理をした方が早く完済できることもあります。
例えば任意整理をすると将来利息がカットされたり、元金が減額されるからです。
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おまとめローンより任意整理をした方が借金完済は早くなるケースがある
複数の消費者金融やカードローンでお金を借りていると、返済日や返済金額がそれぞれ違いますので、「1社にまとめたほうが楽」と思われる方が多いようです。
さらに、おまとめローンの場合は選び方次第では支払う金利を低くできる可能性もありますので、返済総額が少し減るケースもあります。
ですが、実は弁護士に依頼して債務整理をお願いしたほうが、もっと借金返済が早くなるケースがあることをご存じでしょうか?
今回は3社から合計150万円を借り入れている多重債務者の例で、おまとめローンと任意整理での支払い総額を比較してみます。
おまとめローンをする前の多重債務例
会社名 | 借入額 | 年利 | 月返済額 | 返済期間 | 返済総額 |
A社 | 300,000万 | 17.0% | 18,999円 | 18カ月 | 341,983円 |
B社 | 800,000万 | 14.8% | 38,713円 | 24カ月 | 929,120円 |
C社 | 400,000万 | 15.0% | 19,395円 | 24カ月 | 465,472円 |
合計 | 1,500,000円 | 77,107円 | 1,736,575 円 |
150万円を3社から借り入れしていると、完済まで2年間、利息で23万円以上支払う必要があります。月々の返済も77,000円以上と、これ以上を超えると生活に支障を来してしまうでしょう。年利が18%近くと、利息制限法ギリギリで貸し付けている会社もあるようです。
ここで「利息を安くできるおまとめローンはいかがですか?」という宣伝や広告が目に留まって、多重債務を一社にまとめた試算を2社にお願いしてみました。
おまとめローンをした場合の借金例
まとめローン会社名 | 年利 | 月返済額 | 返済期間 | 返済総額 |
α社 | 14.5% | 72,374円 | 24カ月 | 1,736,979円 |
β社 | 13.5% | 71,666円 | 24カ月 | 1,719,973円 |
おまとめローン無しの場合 | 14.8~17% | 77,107円 | 18~24ヵ月 | 1,736,575 円 |
おまとめローン無しの場合と比べると、返済総額も毎月の返済額も少しは安くなるようです。さらに1社にまとめることが出来て、返済の煩雑さも減って安心感が訪れます。
ですが、果たしてこれで良いのでしょうか?
ここでおまとめローンの落とし穴に落ちる
ここでおまとめローン会社が提示してくる条件が、「返済期間を延ばすことができます」「まだ借り入れ可能です」という甘い誘惑です。
多重債務が1社にまとまった安心感が訪れたところに、「返済期間を伸ばせる」「もう少し借りられる」と言われると、人間ですから、「返済も目途が立ってきたし、ちょっとだけ贅沢しようか」と思ってしまうものです。
さらに10万円、20万円を借り入れて、返済期間を半年から1年間延ばしてしまう方がいらっしゃいます。
もし追加で20万円借りて返済期間を36カ月に伸ばした場合、どうなるか試算してみましょう。
まとめローン会社名 | 年利 | 月返済額 | 返済期間 | 返済総額 |
α社 | 14.5% | 58,516円 | 36カ月 | 2,106,564円 |
β社 | 13.5% | 57,690円 | 36カ月 | 2,076,840 円 |
おまとめローン無しの場合 | 14.8~17% | 77,107円 | 18~24ヵ月 | 1,736,575 円 |
完済期間を3年に延長したことで毎月の返済額は減りましたが、返済総額はおまとめローンをする前よりも30万円以上アップしてしまいました。
これで済めばまだ良い方で、現在は銀行のカードローンは総額500万円~1000万円まで貸し出すなど、上限を引き上げるようになってきています。
それを利用して、追加融資+返済期間の延長をさせて、返済総額がどんどん上積みになっているケースは珍しくありません。

多重債務を安い金利でまとめて返済をスムーズにするはずが、さらに返済期間と返済総額を増やす結果になってしまう落とし穴があるのです。
もし弁護士や司法書士に債務整理(任意整理)を依頼していたら?
では、もしおまとめローンを選ばずに、弁護士や司法書士に依頼して債務整理方法の1つである任意整理をすればどうなっていたのでしょうか?
任意整理は、弁護士や認定司法書士が貸金業者と直接交渉して、借金を減らして将来利息をカットする債務整理方法です。
もちろん弁護士報酬は発生しますが、借金の元金もいくらかは減らすことが出来ます。
任意整理例 | 着手金 | 成功報酬 | 任意整理後の借金 | 返済期間 | 月返済額 |
X弁護士事務所 | 2万円 | 15万円 | 105万円 | 24カ月 | 43,750円 |
おまとめローン無しの場合 → | 150万円 | 18~24カ月 | 77,107円 |
X弁護士事務所に借金整理の依頼して任意整理をした結果、150万円の借金は105万円まで減額できました。
弁護士費用は着手金と成功報酬で17万円かかりましたが、それでもおまとめローンで支払う総額よりも40万円以上少なくなります。さらにこれから支払う利息分もカットになるので、毎月の支払額は77,107円から43,750円に減額です。これなら返済期間を18カ月にしても毎月58,333円ですので、早く完済できる可能性も見えます。
いかがでしょうか?任意整理をすると、おまとめローンよりも借金を減らして、さらに借金を早く完済できる可能性があるのです。
【関連記事】任意整理をすれば借金がいくら減るのか知りたい
任意整理をすると5年は借金ができないですが、メリットとして考えられる
そして債務整理をすると、個人信用情報に事故者として掲載されますので、5年間は新しい借金をしたり、クレジットカードを作る事ができなくなります。
これをデメリットと感じる方もいらっしゃいますが、逆にメリットとして考えることもできます。
おまとめローンを申し込んだ場合は、さらに借金を作って返済期間が長くなる環境が出来上がってしまいました。これではなかなか借金から抜け出すことは出来ません。
ですが、任意整理をして金融機関のブラックリストに載ったおかげで、借金をすることが出来なくなって、「自分が稼いでいる分で生活をする」という身の丈に合った生活ができる環境が出来上がったのです。
5年もこの生活習慣を続けていれば、当たり前のように借金をする考えから抜け出せるかもしれないという、メリットとしても捉える事ができますがいかがでしょうか?

多重債務者はお金を借りることが癖・習慣化してしまっているので、これ以上借金を増やしたくないのであれば、おまとめローンをするよりも、長い間借金できない環境に身を置く決断をすることも大事なのです。
今回のまとめ
おまとめローンは多重債務を一本化して返済総額を減らせる可能性がありますが、さらに借金を増やして返済期間を長くした結果、返済総額が大幅に増えてしまう環境を自ら作り出してしまっている事を覚えておきましょう。
それよりなら、弁護士や認定司法書士に債務整理・任意整理をお願いして借金を減らして、しばらくの間は借金するこが出来ない環境に身を置いて、借金習慣をリセットする方が人生にとって有意義だと思います。

安易におまとめローンに手を出してしまうと、そこからさらに借金を増やしてしまう方を多く見ています。
おまとめローンをするか悩んだら、その前に借金問題に力を入れている弁護士か認定司法書士にご相談されることをお勧めします。