雨宮先生雨宮先生

自己破産の理由だけでは、妻側から一方的に離婚することは出来ません。もちろん、夫側からでも同様です。
ですが、離婚は気持ちの問題もありますので、法的な効果が及ばないこともあります。

法的には自己破産だけの理由では離婚は認められない

自己破産理由での離婚を求められた

法的には、自己破産という理由だけでの離婚は認められていません。

民法770条で定められている離婚原因は、配偶者の不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復見込みのない精神病、その他婚姻を継続できない重大な理由という5つの事由が定められています。

民法763条では「双方の話し合いで協議離婚することは自由」とも定められています。

貸金業者の多額の借金、取り立て、生活費不足が原因でも離婚事由になる

とはいえ、自己破産まで追い込まれている場合は、多くのケースで借金によって首が回っていない状況でしょう。

こういう債務者の場合、夫側が長期間家に生活費を入れなかったり、貸金業者の取り立てによって家族にストレスを与えていたり、夫婦が別居している事が珍しくありません。

このような状況は、先にご紹介した5つの離婚事由に当てはまりますので、裁判や調停をしても離婚は認められてしまいます。

夫側から「家族に迷惑がかかる」と離婚を求められるケースも

夫側から「これ以上妻や家族に迷惑をかけられない」と離婚を切り出されるケースも少なくありません。

例えば自営業や中小企業を経営している夫の事業が悪化して、借金の抵当に自宅を入れているケースです。資金繰りに困って銀行のみならず、サラ金にまで手を出して返済で首が回らなくなると、「もうこれ以上今の生活を続けられない」と思って自己破産を考えるようになります。

ですが自己破産をすると、自宅や家の財産は処分されてしまいます。その前に離婚をして、妻側に少しでも財産分与を残そうと考える為、離婚を求めるケースもあります。

もし、妻側が主婦で実家のご両親も亡くなっている場合は、「離婚しても行くところが無い」と離婚を拒否したいと相談されることもあります。ですが、現実的には今の生活を続けてもどうにもならないので、やむなく離婚という決断をされます。

自己破産で離婚が認められにくいケース

自己破産で離婚が認められにくいケースとしては、例えば「金銭的にも愛情的にもお互い満たされていた状態だったのに、連帯保証人になっていたことである日とつぜん多額の借金を抱えることになって自己破産をすることになった。だから離婚」という場合です。

これだと、この記事冒頭で解説した離婚原因の5つの事由に当てはまっていないので、仮にどちらかが一方的に離婚を申し出て調停をしても、スムーズに認められるかどうかは分かりません。

雨宮先生雨宮先生

調停になると自己破産に至る理由と経済状況など、いろんな方向から客観的に見られます。

法律だけでなくお金と気持ちの問題も絡むことが離婚

つまり、法律上では「自己破産しただけでは離婚の理由としては認められていませんよ」とはなっているのですが、自己破産に至った背景が、お金や気持ちの問題が絡んでしまいますので、離婚を回避することは難しいと言えるでしょう。

ですが、中には話し合いをした結果「自己破産をして夫婦で最初からやり直す」と決断される方もいます。結局、自己破産と離婚に至るまでの背景や生活状況とお金の問題に全て左右されてしまいますので、法的な効果が及びに部分なのでしょう。

自己破産を決断する前に個人再生や民事再生の検討を

自己破産は借金をゼロに最終手段です。何も調べずに「自己破産しかない」と考える人もいますが、個人再生(民事個人再生)、任意整理という債務整理方法も検討してみてください。例えば個人再生の場合、住宅を処分することなく借金を5分の1~10分の1に減らせて、自己破産を回避できる可能性があります。

個人再生や任意整理については、個人再生のメリットとデメリットや、任意整理のメリットとデメリットは?をご参考にしてみてください。

今回のまとめ

「自己破産をする」という理由だけでは、法律では離婚することを認めていません。

ですが、自己破産に至るまでの過程とその時の生活背景が、民法770条で定められている5つの離婚事由(配偶者の不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復見込みのない精神病、その他婚姻を継続できない重大な理由)に該当する場合は、離婚が認められます。

自己破産は最終手段ですので、まだ個人再生(民事個人再生)や任意整理を検討していない場合は、借金専門の弁護士に相談してみてください。

雨宮先生雨宮先生

離婚も結婚も、”生活と精神が安定できるか否か”がポイントだと思います。法律では縛り切れない部分もあるのです。