債務者さんからのご質問
消費者金融と銀行カードローンの返済が滞って、給料の差し押さえを受けてしまいました。
ちょっとした財産も持っているので、自己破産をしても同時廃止じゃなく管財事件になりそうですし、これだと給料の差し押さえ解除まで半年から1年ほどかかってしまいそうです。
なるべく早く自己破産免責決定を得るには少額管財手続きが良いと聞いたのですが、具体的にはどんな制度なのでしょうか?

少額管財手続きは通常の破産手続きと変わらないのですが、弁護士を代理人にすることで、自己破産決定までの時間の短縮と予納金を20万円と安くすることが出来ます(通常の予納金は50万円)。
目次
少額管財手続きとは?
自己破産をする場合、処分するような財産(多額の現金・不動産・有価証券など)が無い場合は、”同時廃止”という制度によって2~3か月で自己破産が終了します。
ですが、処分するような財産を持っていた場合は”管財事件”という制度で扱われます。これがちょっと厄介で、最大のデメリットは「終わるまで半年から長いと1年ほどかかってしまうこと」と「予納金が50万円以上必要であること」の2点です。
「自己破産が終わるまで半年から1年も待てない!予納金もっと安くならないの?」という人の為の制度
自己破産決定まで半年から1年もの時間がかかってしまう予定なら、今回のご相談者さんのように「給料を差し押さえられたから早く自己破産して解除したい」「予納金が高過ぎる」と思うでしょう。
そんな悩みをかかえた債務者の為に設立された新しい制度が”少額管財手続き”です。
少額管財手続きは、裁判所側が破産手続きを外部の弁護士に委託するような形にすることで、自己破産の管財事件手続きを簡略化して予納金を20万円(定額)にすることができます。
そして、通常は半年から1年かかる自己破産の管財事件が、免責決定まで約2~4カ月と大幅に期間を短縮することができます。
つまり少額管財手続きは、裁判所のかわりに弁護士が事前に自己破産手続き・財産調査などを事前に行っておくことで、自己破産の簡易化・迅速化・予納金の格安化ができるのです。
少額管財手続き最大のメリット
- 予納金が安い(20万円の定額で済む)
- 自己破産免責決定までの期間が短くなる(2~4カ月)
少額管財手続きのその他のメリット
少額管財事件の申し立てをすることで、その他にもメリットを得られるます。
少額管財手続き申し立てのその他メリット
- 給料差し押さえの早期解除
- これから給料が差し押さえられそうな場合を回避できる
- 利息の払い過ぎていた場合は早く取り戻せる
- 貸金業者からの差し押さえが申し立てしてすぐに止む
- ギャンブルが自己破産の直接原因で免責不許可になりそうな場合、免責許可を得られやすくなる
- 裁判所や債権者集会に自分が出向かなくて済む

自己破産を弁護士に依頼するので、面倒な裁判所通いが無くなりますし、債権者達と直接顔を合わせなくて済みます。全て代理人である弁護士が行ってくれるのです。
少額管財手続きを利用するための条件は?
少額管財手続きはどんな人でも利用できる、というわけではありません。一定の条件を満たしている場合に限られます。
少額管財手続きが利用できる条件
- 債務者が個人か零細企業であること
- 自己破産の申し立ては弁護士が代理人になっていること
- 管轄の地方裁判所が少額管財手続きに対応していること
少額管財手続きは、中規模程度以上の企業では利用することができません。
また、自己破産申し立ての代理人が弁護士に設定されていることが必須ですので、事前に弁護士に依頼することが必要です。
そして主要都市の地方裁判所では少額管財手続きが利用できますが、都市部から離れた裁判所や支部では利用できないこともあります。
ですが、例えば東京と繋がりのある自己破産申し立ての場合は、東京地方裁判所で少額管財で扱えるケースもあるようです。その他の地方裁判所でも少額管財を希望すれば、弁護士の力で可能になる場合もあります。
今回のまとめ
少額管財手続きは、裁判所が自己破産手続きを弁護士に委託する形で行うことで、手続きの迅速化・費用の格安化を行うことができます。
最大のメリットは、管財事件なのに免責決定まで2~4カ月と短期間で済ませられること、予納金が定額20万円で済む事です。

少額管財手続きを利用されたいと思われる方は、借金問題を専門にしている弁護士に相談してください。今は無料相談を受けてくれる事務所が増えています。
少額管財が希望であれば、弁護士への依頼が必須になります。