債務者さんからのご質問

期間工や派遣社員、アルバイト、農業、漁業など収入が不安定な債務者は、個人再生は利用できますでしょうか?

雨宮先生雨宮先生

収入が不安定な職種でも、個人再生が利用できる場合と出来ない場合があります。

個人再生における債務者に必要な収入

個人再生に必要な収入
個人再生(民事個人再生)は、本来は定期的な収入がある債務者の再生救済措置です。

収入に関する部分では法律で「将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある」「給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、かつ。その額の変動幅が小さいと見込まれる」と定義されています。

そして、個人再生が認められる条件は、3年から5年をかけて、少なくても3カ月に1回の割合で返済できる収入を得る見込みがあることが重視されます。

個人再生(民事個人再生)が利用できる不安定職業の可否

個人事業者・農業従事者・漁業従事者

個人事業者の場合は職種が様々ですので、収入の形態も様々です。不定期収入だったり、月ごとの収入幅の変動が大きい方も多いです。

ですが、既に年間を通して一定額を超える収入がある場合は、個人再生の利用資格があると考えられています。これは農業・漁業従事者も同様です。

アルバイト・パート

アルバイトやパートの場合、勤務先が都度異なっていても、継続的に働いている実績があれば、個人再生を利用出来る資格を得られる可能性は高いです。

もし短期間のアルバイト・パートで働いていない実績しかない場合、それでも継続的に借金を返済していくだけの収入があれば、個人再生の利用は基本的に可能です。

ですが、期間限定・日雇いのアルバイトで継続雇用が明らかに見込めない場合は、手続きの利用は難しくなります。

期間工

期間工の場合は雇用期間が限定されていて、個人再生の利用が難しいと思われがちです。
ですが、再雇用の見通しが既にあったり、再生計画に沿った返済が必要な収入を確保できる可能性があることを証明できれば、個人再生の利用は可能です。

派遣社員

派遣社員も期間工に近い雇用形態ですが、契約が延長される可能性や派遣会社を通して新しい雇用先を確保できる可能性が高いと見込まれやすいので、個人再生の利用は可能です。

期間工よりも個人再生手続きが通りやすくなっています。

歩合給の職種

「基本給+歩合給」の収入で、基本給だけで再生計画に沿った返済が確保できる場合は、個人再生の利用は可能です。
ですが、歩合給の変動幅が大きい場合は、給与所得者等再生手続きが利用できない可能性があります。

もし完全歩合制の給与収入で働いている場合は、個人事業主と同じで過去1年間の収入実績から継続的に返済が可能かを検討されます。
最低でも3ケ月に1回は返済可能な収入を得られている実績があれば、小規模個人再生手続きの利用はできる可能性が高いです。

年金受給者

年金受給者は継続的な収入の見込みがあるので、個人再生手続きは利用できます。
ですが、年金の受給額が再生計画の返済金額よりも低い場合は、個人再生を申し立てても否決される可能性があります。

今後は年金受給額が減ってきますので、個人再生手続きをしても認められない申立者が増加すると思われます。

主婦

主婦の場合はまったくの無収入ですので、個人再生を利用することが出来ません。
主婦の借金整理・債務整理の場合は、基本的には自己破産をする以外の選択肢がありません。

ですが、これからアルバイトやパートターマーを始めて定期的な収入を確保できるのであれば、個人再生を利用できる可能性はあります。

失業者

失業者で、就職見込みが無い場合は個人再生は利用できません。

ですが、個人再生を申し立てる時点で再就職の見込み・内定をもらっている場合は、個人再生を利用出来る可能性が有ります。

もし失業保険受給の収入しかない場合は、期間限定収入にあたりますので、個人再生の利用はできません。

生活保護受給者

生活保護受給者も定期収入を得ていることになりますが、これは最低限の生活を送る為の費用を給付しているだけですので、基本的には借金の返済に回す余裕は無いはずと見なされます。

ですので、個人再生の利用は出来ません。

職種 個人再生の可否
個人事業者
農業従事者
漁業従事者
パート・アルバイト
期間工
派遣社員
歩合給
年金受給者
主婦 ×
失業者
生活保護者 ×
雨宮先生雨宮先生

「○」「△」になっていても、得られる収入額や雇用形態、将来の働き先の見込みによっては、個人再生ができる場合と出来ない場合があります。

今回のまとめ

雇用形態が不安定な職種でも、個人再生手続きができる場合と出来ない場合があります。

個人再生ができない可能性が高いのは、主婦、失業者、生活保護者です。
他の職種については、過去1年間、または将来的に返済額に見合った定期収入が確保できる見込みがあれば、個人再生を利用できます。