債務者さんからのご質問

個人再生を考えていますが、債権者一覧表にはどこまで書けば良いのか分からないので教えて欲しいです。
(闇金、過剰与信クレジット債権、利息、遅延損害金、家賃、水道光熱費など)

また、税金なども債権者一覧に書くのでしょうか?

雨宮先生雨宮先生

債権者一覧の記載に誤りがあったり抜けがあると、最低弁済額が変わりますのでかなりの注意が必要です。

債権者一覧表の書き方

債権者一覧表

↑上記画像が債権者一覧表です。地方裁判所によって書式が違いますが、必要な情報は主に以下の通りなっています。

債権者一覧に書く内容と情報

  1. 債権者名
  2. 債権者の住所
  3. 債権の種類(貸付、立替、保証、その他)
  4. 当初借り入れ年月日
  5. 当初借入額
  6. 毎月の約束返済額
  7. 最後の返済年月
  8. 現在の残高
  9. 発生原因・使途・購入品
  10. 保証人の有り無し
  11. 意義の留保

今回のご質問は「闇金、過剰与信クレジット債権、利息、遅延損害金、税金の記載」に関することですので、一つずつ解説していきます。

闇金の債権の書き方

闇金の場合は、債権者名・住所・債権年月日や返済額を記載したうえで、残高はゼロと記載する事が多くなっています。分かる部分だけ書けばOKです。

闇金は貸金業法を無視した無登録業者、出資法違反の業者で、一般的には「闇金からの借金は無効で支払いに応じる必要はない」とされています。

ですが債務整理で個人再生をして借金が減額されたり自己破産をして借金がゼロになったとしても、闇金業者によっては取り立て行為が続く可能性があります。元々法律を守る気が無い業者だからです。

裁判所側は闇金業者から債務者を守ってくれるわけではありませんので、取り立て行為や借金の解決をしたい場合は、債務整理以外の方法(弁護士や警察の協力)が別に必要になります。

過剰与信クレジット債権の書き方

平成22年の過剰与信対策の法改正で、支払い能力を大きく超えるクレジットカードのショッピングは出来なくなりました。

ですが、クレジット会社によっては利用額の枠を更新しない会社もあります。例えば年収1000万円だったサラリーマンのAさんがクレジットカードを作った場合、利用限度額が300万円に設定されていたとします。ですがその後転職して年収400万にダウンしても、更新をしないでいると利用限度額は300万円のままになります。(年収400万であれば利用限度額は通常100万円程度まで)この状況でも、一応クレジットカードの過剰与信と言えます。

ちょっと前であればクレジットカード会社が意図的に過剰与信(支払能力を大幅に超える利用限度額を与えること)をすることがあったので、債権額は0円~満額まで、債務者の判断に任せて書くようにしていました。

ですが、転職して年収が下がったことの報告義務は債務者側にもありますので、買い物をした債務者に責任があるものとして、クレジットカードの債権額は全て書くようにします。

もしクレジットカードを作った時から過剰与信を受けて、高額な買い物をさせられた場合については、債権額は0円~満額まで任意に書いて、裁判所と債権者と債務者で話し合って債権額を確定させることになります。

契約者貸付制度で借りた生命保険からの借り入れの書き方

生命保険の契約者貸付制度を使って、解約返戻金を担保に保険会社から借り入れをした場合。
これは解約返戻金の前払いになりますので、債権者一覧には書きません。

利息、遅延損害金の書き方

個人再生(または自己破産)申し立てが裁判所に受理されて再生開始決定日以降に発生した利息や遅延損害金は、全額免除になります。

ですので、借金の利息や遅延損害金は、申し立てをして手続き開始決定日(個人再生なら再生開始決定日)より前までに発生した金額を記載します。

もし具体的な金額が分からない場合は、大まかな金額でも大丈夫です。再生開始をして債権者一覧に書かれた残りの借金の額に違いがあれば、債権者側が指摘して訂正を要求します。

雨宮先生雨宮先生

債権額の記載については、引き直し計算があったり遅延損害金、利息などを全てを計算して書く必要があるので、かなり複雑で難しくなっています。
基本的には弁護士に依頼するべきです。

保証会社が付いている場合の書き方

もし保証会社が付いていて保証会社の元に債権が移っている場合(代位弁済と言う)は、保証会社のみを債権者として記載します。
元の債権者名を記載する必要はありません。

もし代位弁済されているか分からない場合は、元の債権者と保証会社の両方を記載しておきます。この場合、元の債権者の借金残高を書いて、保証会社を0円と書いておきます。

こうしておけば、個人再生手続きが進んで保証会社に代位弁済が行われていれば、保証会社が訂正依頼の届け出を裁判所にしてきます。

意義の留保の書き方

「意義の留保」にチェックを入れたり○印をつけられるようになっている債権者一覧表がありますが、これは債権者側が提出してきた借金残高に意義がある場合にチェック記入をしておきます。

もし意義の留保を記載しない場合は、債務者(あなた)が債権額を認めたということになりますので、もし何らかの意義や不信、債権残高が不透明な場合はチェック記入をするべきです。

家賃の滞納の書き方

家賃を滞納していた場合も、債権者一覧表にそのまま書く必要があります。

ですが、個人再生の場合だと家賃の滞納分が再生対象になってしまいます。個人再生手続き開始後に自分で支払うことは”偏頗弁済”にあたりますので裁判所から禁止されていることです。

”偏頗弁済(へんぱべんさい)”

個人再生中に一部の債権者に借金を返済してしまうこと。
もし返済すると、再生後の返済額が上がったり、再生手続きが廃止されます。

債務整理中は絶対に禁止されている行為。

とはいえ、大家側からすれば滞納家賃が個人再生で減額されてしまえば、家賃をほぼ支払わずに住まわせたことになるので、「そんな人は出ていってくれ!」となって、賃貸を追い出されることになります。

ですのでもし賃貸を追い出されたくない場合は、親族や第三者から支払ってもらって、急場を凌ぐしかありません。個人再生手続き中の家賃の支払いは自分で支払っても大丈夫です。

水道光熱費滞納分の書き方

水道光熱費が滞納している場合は6ケ月を超えて滞納している分を債権者一覧に書く必要があります。もし6ケ月以内の水道光熱費費滞納分があれば、一応これも記載してかまいません。

ですが、これらは個人再生で減額の対象にはなりません。ですので、滞納分は全て支払っていく必要があります。

「減額対象にならないのに、どうして債権者一覧に書くの?」と思われるでしょう。これは、「再生委員会にこの債務者はこれだけ支払い義務のある借金を抱えているんですよ」と知って貰うためです。

個人再生では毎月どのくらい返済できるかを決めなければいけません。もし債権者一覧に水道光熱費の滞納分が無かったら、個人再生後の返済額は高くなる可能性があるでしょう。

雨宮先生雨宮先生

公共料金の滞納分の書き方については、地方裁判所によって変わりますので、依頼した弁護士に聞く事をお勧めします。

滞納している税金

滞納している税金は、”滞納公租公課一覧表”に記載します。

滞納公租公課一覧表

対象になるものは、所得税・住民税・下水道料金・年金・健康保険・その他税金です。これらの滞納分についても、個人再生では減額されることはありません。

雨宮先生雨宮先生

個人再生では水道光熱費や税金は減額されませんので、個人再生後に全て支払っていく必要があります。自己破産では、半年を過ぎた水道光熱費(下水道除く)は免責されてゼロになりますが、税金は免除されません。

債権者一覧に書かない債権はどうなる?

債権者一覧表に書かない債権や借金は、全て減額されることもありません。100万円借りていれば、個人再生後もまるまる100万円+利息分や遅延損害金を返済することになります。

また、支払うべきお金を支払っていない全てのもの(貸金業者からの借金・公共料金・親族や友人からの借金)を書かないと、個人再生後の毎月の返済額が高くなってしまうことになりますので、借金や滞納分の全ての書きましょう。

今回のまとめ

債権者一覧の書き方は慎重に!
支払っていない借金や滞納の料金全てを書きましょう。

雨宮先生雨宮先生

個人再生では他に提出するべき書類や書くべき書類が沢山あります。このどれか一つでも間違えたり期限内に提出できないと、個人再生が廃止されてしまいます。
基本的には借金問題や債務整理を専門にしている弁護士に依頼されることをお勧めします。