債務者さんからのご質問
個人再生計画表を作成して承認されるところですが、もし再生計画表通りに返済できない場合はどうなりますか?

再生計画表通りに返済しない場合は、再生計画が取り消されたり、裁判所から破産手続きを強制的に開始させられることもあります。
目次
個人再生計画表の返済計画を守らないとどうなるか?
個人再生計画表通りに返済を守らないと、債権者側が”再生計画取り消しの申し立て”を行います。
この取消申し立てを行うことが出来る債権者は、計画通りに返済を受けていない、債権総額の10分の1以上にあたる債権者です。
これに該当する債権者が「この債務者が計画通りに返済しない」と裁判所に申し立てれば、1度は承認された再生が取り消しになってしまいます。
つまり、個人再生で減った借金が、元に戻ってしまいます。
ポイント!
再生計画通りに返済をしない
↓
債権者が再生計画取り消し申し立て
↓
個人再生取り消し
↓
減った借金が元に戻る!
↓
一括返済できなければ自己破産!!
減った借金が元に戻るとどうなるか
個人再生で1度は大幅に減らしてもらった借金、元の借金額に戻ってからは、全ての債権者に一括返済をする義務が発生します。
もともとは返済できないから個人再生を申し立てたのですから、借金が元に戻れば一括で返済できる財力は普通はありません。
ですので、結果的には自己破産せざるを得なくなります。
1回くらい遅れたから許して・・は通用しない
普通の借金だと、返済期日に1回遅れただけだと催促や督促を受けたり、遅延違約金を支払うくらいで済んでいました。
ですが、個人再生はそんなに甘くはありません。
お金を貸した側の立場になって考えてください。債務者に貸したお金が全額返ってこなくて、個人再生が認められて5分の1しか回収できなければ「損をした!」と思うでしょう。でも国の制度なんだから仕方ない、この再生計画を認めて、少しでも返済してもらうことで妥協するしかない、と思っているはずです。
借金を減らされた債権者は優しくない
なのに、債務者が再び約束を破って計画通りに返済をしてこないとなれば、お金を貸した側はさすがに黙ってはいないでしょう。債務者の財産を取り上げるべく、個人再生取り消し申し立てをすぐにでもするケースが多数あります。
個人再生が取り消されれば、残る道は自己破産をするしかありません。
もしマイホームを守るために個人再生をしていたのであれば売却することになります。他に残っている財産も、20万円を超える家財や99万円を超える現金や預金は全て取り上げられてしまいます。
大切なことですのでもう1度言いますが、債権者は借金を減らされて損をしたと思っているのです。
個人再生を無効にして借金を元の額に戻して、自己破産をさせて個人再生よりも多くお金を回収できる可能性があると分かっている場合は、1回でも返済計画を守らないとすぐにでも個人再生取り消しの申し立てをしてくるでしょう。

「1度くらい、数日くらい遅れても・・」は命取りです。再生計画は何としても守る必要があります
現在3年の返済計画の場合は5年にも延長できる
個人再生の場合は、最長5年間(ただし年齢が70歳まで)で返済をする義務が課せられています。
ですので、もし最初の再生計画表を3年間で立てていた場合は、プラス2年まで返済期間を延長してもらえることがあります。
返済期間の延長が認められる条件は?
ですが、返済期間の延長が認められる条件は、”特別な事情”がある場合です。
例えば収入が大幅に減った、天災で仕事を失った、不景気、家族の医療費が増えたなどの理由がある時です。
【関連記事】個人再生の返済期間が3年以上を認められる事情は?

再生計画の変更は、裁判所に再生計画変更の申し立てをする必要があります。
借金の返済が4分の3終わっている場合は残りが免責される可能性がある
”ハードシップ免責”をご存じでしょうか?
これは、再生計画で残った借金の4分の3以上を返済し終えていて、「返済が極めて困難」という状態が認められれば、残りの返済が免除される制度です。
「返済が極めて困難」という状況は、例えば、債務者が病気で仕事の復帰のめどが立たない場合や、個人事業主であれば天災で店がつぶれて再開のめどが立たない場合などです。
また、清算価値以上の弁済を終えていること、再生計画の延長でも返済不可能と裁判所や債権者から判断されることも、ハードシップ免責が受けられる条件です。
清算価値については、「小規模個人再生での返済金額は?」のページをご参考ください。
今回のまとめ
個人再生で再生計画通りに返済を守らなかった場合は、債権者から”再生計画取り消しの申し立て”をされる可能性があります。
再生計画が取り消しになると、借金が元に戻って一括返済の義務が発生します。返済できなければ自己破産です。
返済計画を3年間で立てている場合は、プラス2年の最大5年間まで延長可能です。もし4分の3を返済し終えていて、病気・天災による店舗倒壊などで収入を得る見込みが無い場合は、ハードシップ免責の申し立てをすることで、残りの返済が免除される可能性があります。

返済計画をしっかり守るためには、節約することと、身の丈に合った生活を心がけることも必要になります。