債務者さんからのご質問
誰にも知られずに借金を整理したいです。どんな方法がありますか?

絶対に誰にも知られない方法はありませんが、知られる可能性を極めて低くする方法は”任意整理”を弁護士に依頼することです。
目次
借金整理が誰にも知られない方法はありません
まず最初に言っておきますが、「借金整理が絶対に誰にも知られない方法」はありません。
冷静になって考えてみてください。仮に「周りに誰もいない場所で1万円を拾った」という場合であれば、自分が誰にも話さなければ「絶対に誰にも知られない」でしょう。
ですが、債務者さんが行おうとしていることは借金整理です。借金をしている時点で、自分以外の人が関わっています。
「秘密を自分以外の誰かに話した瞬間から秘密ではなくなる」と言われているように、借金整理では直接的・間接的に何人も関わってきますので、どこかから情報が洩れる可能性はゼロにはなりません。「確率100%で誰にも知られずに」はそもそも無理な話です。
つまり「絶対に知られない借金整理の方法」はありえなくて、「かなり高い確率で誰にも知られない方法」ならある、ということを知っておいてください。
そして「借金整理を誰にも知られたくない」のであれば、借金整理が誰かに知られてしまう原因をしっかり理解しておいて、一番知られにくいであろう方法を選べば、誰かに知られる可能性も低くなるということです。

弁護士事務所の宣伝で「絶対に誰にも知られません!」と書いているものも見かけますが、そんな方法はありません。大げさな広告と言って良いと思います。
借金整理が誰かに知られてしまう原因を知ろう
それでは次に、借金整理が誰かに知られてしまう原因を知っておきましょう。
原因は主に3つありまして、それが以下。
借金整理が誰かに知られる原因
- 貸金業者からの書類郵送や電話
- 官報(国の広報誌)に掲載される
- 新規ローンが組めない、クレジットカードが作れない事が親族に知られた時
1.貸金業者からの書類郵送や電話
借金整理は自分ひとりでもやれないことはありませんが、関係書類の郵送物や電話は全て自宅や携帯電話に届きます。
家族がいたら郵送物を見られて一発で知られますし、電話も多いと1日20回以上、土日祝日を問わずかかってきます。
ちなみに貸金業法で「取り立てなどの行為は朝9時から夜の8時まで」と決められているので、これをこえた時間帯での連絡はありません。
2.官報(国の広報誌)に掲載される
借金整理にはいくつかの方法があって、その中の”個人再生”と”自己破産”をした場合、国がほぼ毎日発行する広報誌の官報に債務整理者の個人情報が掲載されます。
「こんなの見たこともない」という人が大半でしょうから、官報から借金整理をしたことが誰かに知られる可能性は低いと言えます。
ですが、会社(特に大きな企業)によっては、毎日官報をチェックしている人もいます。官報には取引先の倒産情報や、政府調達入札の案内なども書かれているからです。
官報をチェックしている人がたまたま債務整理者リストを見つけて、「あっ、うちの会社の人だ。借金整理したのか。」と知ってしまう可能性はゼロではありません。
【関連ページ】首相官邸HP 官報
3.新規ローンが組めない・クレジットカードが作れない事が親族に知られた時
どんな方法で借金整理をした場合でも、かならず”個人信用情報機関のブラックリスト”に掲載されます。
ブラックリストに掲載されてしまうと、借金に対する信用を失っている人に該当します。そして5年~10年の間は新規ローンや新規クレジットカードを作ることができなくなってしまいます。
この事で会社の人に知られることはまずありませんが、例えば家族で「家を買うために住宅ローンを組もう」「教育ローンを組もう」「家庭の事情で1枚クレジットカードを作る必要がある」という事になった場合、ブラックリスト入りしていますので、審査は通りません。
ここで親族に「どういうこと?」と問い詰められて、借金整理をしていたことが知られてしまう可能性は高くなります。

「借金整理をしてブラックリストに載らない方法」はありません。ブラックリスト入りを回避するには、借金を普通に完済するしかありません。
誰にも知られずに借金整理するためには?
いったん今までの話をまとめます。
誰にも知られない為のポイント
- 貸金業者や裁判所からの郵送物や電話が自宅に来ないようにする必要がある
- 官報に掲載されないようにする必要がある
- ブラックリスト入りは回避できないので、5年~10年はローンを組まずクレジットカードも作らない
誰にも知られずに借金整理をするには、この3つのポイントを押さえる必要があります。
ブラックリスト入りだけはどうしても回避できませんので、家族がいる場合はしばらくの間、新規ローンはかたくなに組まないようにしなくてはいけません。
(ちなみに、仮に妻名義の借金を整理して、夫名義でローンを組もうとしても、審査が通らないケースもあります。夫名義の借金を整理して、妻名義で新規ローンを組もうとした場合はほぼ100%審査は通りません。)
ですが、「郵送物と電話が自宅に来ないようにすること」「官報に掲載されないようにすること」の2つをクリアする借金整理方法はあります。
それが”任意整理を弁護士に依頼すること”です。
任意整理とは?
任意整理は、裁判所を通さずに、貸金業者と借金の減額を直接交渉して和解を求める方法です。
この方法であれば、裁判所を通しませんので、官報には掲載されません。
そして弁護士に任意整理を依頼することで、貸金業者からの郵送物や連絡の全てが弁護士宛に届くようになります。
弁護士からは自分の携帯電話に連絡がくることにはなりますが、電話・メールにしてロックをかけておけば、基本的には誰かに知られてしまう可能性は極めて低くなるでしょう。
任意整理について詳しくは任意整理のメリットとデメリットは?のページや、任意整理のカテゴリーページで説明していますので、こちらもご参考ください。

つまり、高い確率で誰にも知られずに借金整理をしたい場合は、任意整理から検討することがベストな結論になります。
任意整理でどのくらい借金が整理されるか?
任意整理は貸金業者との直接交渉ですので、結果はさまざまです。借金額や収入額にもよりますし、家庭の事情、健康上の都合などで判断して、貸金業者と和解できるように交渉していきます。
具体的には、「会社が倒産、リストラされて転職して給料が減った。利息分しか払えていない状態。」という場合であれば、将来利息のカットしてもらう交渉を。
「他の消費者金融から借りて返済しはじめて、このままだと完済できる将来性は見込めない」という場合なら、将来利息のカット、元本を2割減額してもらうことができた、など。
交渉相手や債務者の状況によって、結果はほんとうに様々です。弁護士の交渉能力にもよりますので、借金問題や債務整理専門の弁護士に依頼される方が、経験が豊富ですので良い交渉結果になる可能性は高くなります。

一言で弁護士と言ってもいろんな専門があります。借金整理であれば、借金整理・債務整理専門の弁護士への依頼がお勧め。”餅は餅屋”です。
弁護士費用はいくらか?
弁護士費用は、整理する借金額と交渉する貸金業者の数によって決まる料金設定が一般的です。
相場としては一社あたり5万円前後、仮に3社の貸金業者の任意整理をすれば、15万円ほどはかかるでしょう。一括で支払えない場合は、どの弁護士事務所でも分割払いが可能になっていますので、ご相談されると良いでしょう。
債務整理の弁護士料金については、借金整理・債務整理でかかる弁護士費用はいくら?のページもご参考ください。
今回のまとめ
「誰にも知られずに借金整理できる方法」はありませんが、「高い確率で知られずに借金整理できる方法」はあります。
それには、自宅に借金関連の郵送物が届かないようにすること、官報に掲載されないことが必要で、”任意整理を弁護士に依頼すること”が適しています。
さらに新規ローンについては7~10年間は組まないようにすれば、誰かに知られる可能性は極めて低くなるでしょう。

借金問題・債務整理専門の弁護士であれば、最初の相談料は無料で設定している事務所が多くなっています。
早く行動をするほど借金が膨らむのを防げますので、それだけ弁護士依頼費用も安くなりますし、貸金業者との交渉も上手くいきやすくなります。