債務者さんからのご質問
任意整理をすれば借金がいくら減るのか知りたいです。

任意整理の場合、借金の額や収入、貸金業者側の考え、債務整理を担当する弁護士や認定司法書士の交渉力しだいですので、「このくらい減る」とは断言ができません。ですが、ほとんどの和解ケースでこれから発生する利息はカットされています。
任意整理で減らせる借金額はいろいろ
自己破産だったら借金がゼロに、個人再生なら借金総額によって5分の1~10分の1に減額、というような法的な決まりがありますが、「任意整理をすれば必ずこのくらいは借金が減る」という目安や決まりがありません。
任意整理は、弁護士・認定司法書士と貸金業者側で直接交渉をして「この債務者さんはこれくらい減らせば返済できるだろう」と和解を目指す方法です。
どんな和解結果になるかは、借金の総額、収入状況、貸金業者側の考え方や担当者の裁量、依頼する弁護士や認定司法書士の交渉力しだいで変わってきます。
実際にいくら減るのか?
「任意整理でいくら減るかは目安や決まりが無い」とはいえ、せっかく弁護士料金をかけるのですから、それでも実際にはいくら減るのか気になるところかと思います。
ここからは実際にいくら減っているかの例をご紹介します。
将来利息のカット
任意整理における和解提案の1つとして、「将来利息のカット」があります。これは任意整理をすると、ほとんどのケースで貸金業者側が条件をのみます。
将来利息のカットとは、これから発生する金利・利息を全て無くしてしまうことです。つまり、「元金だけを返済すればOK」ということになります。
例えばキャッシングで借入総額200万円だった場合の金利・利息は以下の通りです。
キャッシング総額200万円の支払額(任意整理前)
借入残高 | 200万円 |
返済期間 | 36カ月 |
金利 | 14.8% |
支払う利息 | 48万8844円 |
毎月の返済額 | 6万9134円 |
金利はキャッシング会社によって異なるのですが、100万円をこえた場合は14%~15%の間です。
36カ月の返済プランだと、利息だけで48万円にもなっていることが分かります。
ちなみに、48カ月払いだと利息は66万2011円、60カ月だと84万2165円、72カ月だと102万9203円にもなります。凄い金額になりますよね。
ここで任意整理をして将来利息カットの交渉が成立すれば、利息はいっさい支払わなくて大丈夫になります。
キャッシング総額200万円の支払額(任意整理後)
借入残高 | 200万円 |
返済期間 | 36カ月 |
金利 | 14.8%→0% |
支払う利息 | 48万8844円→0円 |
毎月の返済額 | 6万9134円→5万5555円 |
将来利息がカットされたことで、借金は48万円ほど減らすことができました。毎月の返済も7万円弱から5万円強に減ります。

もしこれが48カ月返済契約だと約66万円、60カ月だと84万円が任意整理によって減らせたことになります。
返済期間の延長交渉もできる
さらに任意整理では、返済期間の延長を交渉することもできます。
さきほどのケースでは3年の支払いで毎月5万5555円の返済計画でしたが、債務者の収入や生活状況によってはもっと少ない返済額にした方が良い場合もあります。
任意整理後の返済期間は3年で立てることが目安になっていますが、話し合いによっては5年、長いと10年で和解になったケースもあります。
キャッシング総額200万円の支払額(任意整理後)
借入残高 | 200万円 |
返済期間/月々返済額 | 36カ月・・5万5555円 48カ月・・4万1667円 60カ月・・3万3333円 72カ月・・2万7778円 84カ月・・2万3810円 |
金利 | 14.8%→0% |
支払う利息 | 48万8844円→0円 |

任意整理をして金利・利息が発生しなくなったことで、元金のみを余裕をもった返済をすることができるようになります。
元金を減らせるケースもある
貸金業者側によっては、「元金を少し減らしますので3年以内で完済して欲しい。」と打診してくるケースもあります。
または、債務者がリストラや転職で収入が大きく減ってしまった場合などの事情があったりしても、元金を減らすケースがあります。
元金がいくら減るかは、これも目安はありません。1割減ったこともあれば、半分に減ることもあります。
ここでは、元金が1割減って、4年で返済の和解になったケースをご紹介します。
キャッシング総額200万円の支払額(任意整理後)
借入残高 | 200万円→180万円 |
返済期間 | 36カ月→48カ月 |
金利 | 14.8%→0% |
支払う利息 | 48万8844円→0円 |
毎月の返済額 | 6万9134円→3万7500円 |

このように、任意整理でいくら減るかはいろいろなケースがあります。
弁護士・認定司法書士の交渉力も結果に響く
冒頭でも書いていますが、任意整理の結果は交渉で決まります。交渉をするには交渉力が必要で、この力は「どれだけ任意整理の仕事をこなした経験があるか」に左右されます。
また、弁護士報酬・認定司法書士のには「減額報酬」というものがあって、債務整理をして借金を大きく減らしたぶんだけ報酬が多くなるようになっています。
ですので、任意整理を依頼すればどの事務所もそれなりには頑張りますが、経験の差はどうしても出てきます。借金整理に不慣れな弁護士が任意整理を行ったところ、将来利息は全部カットにならず半分になってしまったこともあります。
「餅は餅屋」です。任意整理などの債務整理は、できるだけ借金問題・債務整理専門の弁護士に相談・依頼する方が良いでしょう。これらの専門家であれば、最初の相談料は無料にしている事務所が多くなっています。

弁護士や認定司法書士の資格があれば債務整理はできますが、専門がありますので得意・苦手なものがあります。
今回のまとめ
任意整理でいくら減るかは、目安や決まりが無いのではっきりと申し上げることができません。
ですが、基本的にはこれから発生する金利・利息のカットができるケースは多いです。
また、返済期間の延長や元金の減らせるかは、債務者・貸金業者の状況や弁護士・認定司法書士の交渉力によって変わります。

利息が無くなるだけでも、任意整理をするメリットは十分にあります。金利に追われずに元金のみを安心しながら返済できることがありがたいという債務者さんは多いです。