債務者さんからのご質問
多重債務で返済が難しくなり、インターネットで返済が楽になる方法を探していたら、”おまとめローン”を見つけました。このローンを利用したら、本当に借金の返済が楽になるのでしょうか?

この方法は、メリットだけでなく詐欺の可能性・不動産担保や保証人が必要なローンがある・現在より高金利で借金総額が増える可能性などのデメリットがあるため、必ず借金が減るものではありません。
目次
おまとめローンのデメリット
実際に、おまとめローンを利用した場合のデメリットを以下にまとめました。
整理屋・紹介屋の詐欺にあう可能性がある
整理屋・紹介屋は、多重債務者を狙って広告やダイレクトメールを発信して、相談に来た人を甘い言葉で騙してお金を出させます。現在では、以下のような手口が報告されているので注意しましょう。
紹介屋の手口 その1:弁護士を紹介される
紹介屋は「借金を一本化できます」と甘い言葉で債務者を誘い、実際に契約手続きに行くと債務整理を進めてきて、弁護士を紹介されます。後で問い合わせをしても、「弁護士の先生に聞いて下さい」というだけで相談しても対応してくれません。
つまり、紹介屋の目的は弁護士からの紹介料です。

このような経路で紹介される弁護士は、借金問題に強い信頼できる弁護士とは限らないため、紹介されても断ったほうが無難でしょう。
紹介屋の手口 その2:手数料だけを騙し取られる
「借金を整理できる会社を紹介しますので、先に手数料の入金をして下さい」とお金を要求してきます。
その後、何の連絡がないので電話をしてみると、相手が電話口に出なかったり「提携先の弁護士に相談したところ、〇〇様の債務内容では整理が難しいことが分かりました申し訳ありません」と言われて手数料だけを騙し取られるので、注意しましょう。
整理屋の手口 その1:返済代行をして毎月の返済分を騙し取る
「すぐに借金が解決できます」と甘い言葉で債務者を集めます。そして、「現在ある借金総額400万円を320万円に減額出来ます。今後は、私が代行で返済をしますから、指定口座に毎月5万円を振り込んで下さい」と、債務者に毎月お金を振り込ませます。
その数ケ月後に、債権者から「返済がされていません」と催促状が届き、整理屋に電話をしてみたら回線を解約されていて、返済分のお金を持ち逃げされることがあります。
整理屋の手口 その2:提携弁護士と組んで高額な手数料を騙し取る
債務整理を勧めてきて手数料を受け取り、提携弁護士から債権者へ受任通知の送付だけを依頼します。
その後、債権者からの請求はしばらく止まりますが、債務整理の手続きを進めないため借金は減りません。
このような悪徳な詐欺があるため、借金整理の手数料が弁護士よりも安いからと整理屋に依頼するのは、手数料を騙し取られる可能性があるので、注意しましょう。
保証人や持ち家・土地を担保にしなくては利用できない場合がある
おまとめローンの中には、低金利で一見メリットが大きいように思いますが、不動産担保や保証人が必要なケースがあります。
もし、借り換え後に返済が出来なくなったら、不動産を失う・保証人に迷惑をかけてしまうため、リスクを理解した上で契約しましょう。

低金利だけにこだわらずに、ローンの契約前に担保や保証人が必要か確認しておくことをお勧めします。
現在よりも金利が低くなるとは限らない
また、現在の借金の金利よりも、まとめたからといって必ず低金利になるとは限りません。
借りる金額によって金利の設定が違うため、自分の借りたい金額だとどのくらいの金利になるのか、確認をして下さい。
そして、今ある借金の金利と比較して本当にお得なのか、比較してから利用を考えましょう。
借り換え時に利息制限法による引き戻し計算をしない
おまとめローンは、借り換えをするもので債務整理とは違います。そのため、利息制限法で引き戻し計算をしないので、過払い金が発生していても減額がされません。
つまり、おまとめローンを利用時に過払い金が発生している場合は、自分で弁護士(司法書士)に依頼する費用と手間がかかります。
また、おまとめローンで金利だけが下がり借金総額が減るよりも、債務整理で過払い金による減額や任意整理で将来利息をカットした方が、借金の支払総額が減る可能性があることも覚えておきましょう。
任意整理と過払い金については、以下のページを参考にして下さい。
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低金利の審査に通りにくい
借入先が3件以上または、債務総額が300万円以上ある場合、低金利のおまとめローンの審査に通らない場合があります。
なぜなら、大手の金融機関は多重債務者に貸すと「回収できないリスクが高い」と考えているからです。
大手銀行の低金利のローン審査に通らない場合は、無理におまとめローンにこだわるのを止めて下さい。
無理に借金の一本化をしなくても、債務整理でも借金総額は減額できます。
もし、借金の返済に困ったら借金問題に強い弁護士(司法書士)に無料相談も考えてみましょう。
返済期間が長いと総支払額が増えるケースがある
現在よりも低金利で借り換えが出来ても、返済期間が長くなると総支払額が増える可能性があります。
ローンの申込前に、完済までの支払総額を計算してから利用を考えましょう。
低金利のおまとめローンの審査に通らなかったら?
大手金融会社の低金利おまとめローンの審査に通らない場合は、債務整理で借金を減額することも考えてみましょう。
例えば、債務整理をした方が将来利息のカットや免責などがされるため、返済が楽になる可能性があります。
現在では、任意整理・個人再生・特定調停・自己破産の4つがあるので、自分に合った方法を選びましょう。
以下にそれぞれのメリット・デメリットをまとめましたので、参考にして下さい。
任意整理の特徴
任意整理は、弁護士(司法書士)費用が安く、特別な利用条件がないため利用しやすいことが特徴です。
毎月の返済金額を下げたり将来利息をカットしたい人にお勧めの債務整理です。
任意整理のメリット
- 将来利息・遅延損害金をカット出来る
- 返済期間の延長をして毎月の返済額を下げられる
- 個人再生・自己破産よりも弁護士費用が安い
- 過払い金が発生していた場合そのまま弁護士が請求手続きや交渉をしてくれる
- 自分で整理する債務を選べる
- 他の債務整理よりも他人にばれる可能性が低い
任意整理のデメリット
- 個人再生・自己破産よりも大幅な減額が期待出来ない
- 弁護士や司法書士費用が必要
- 信用情報機関(ブラックリスト)に5年間情報が残る
- 5年間は新しく借入れができない
- 5年間は新しくローンが組めない
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個人再生の特徴
個人再生は、住宅ローン返済中のマイホームを残せる・借金総額が5分の1から10分の1に減額ができることが特徴です。
ですが、利用条件に「安定して継続的な収入があること」とあるため無職や生活保護を受けている方は利用が出来ません。
個人再生のメリット
- マイホームを残せる
- 任意整理よりも減額幅が大きい
- 将来利息のカットができる
- 自己破産と違い職業の制限を受けない
- 手続きを開始すると給料・財産の差し押さえを中止できる
個人再生のデメリット
- 安定して継続的な収入がないと利用できない
- 弁護士費用が40~60万円程度かかる
- 減額後の借金を3~5年間で完済が難しいと利用できない
- 官報に住所・氏名が載る
- 5~7年間は新しい借入れが出来ない
- 5~7年間は新しくローンが組めない
合わせてチェックしておくべきページ
特定調停の特徴
債務整理を弁護士(司法書士)に依頼するのが、現在の収入では費用の支払いが難しい方にお勧めの債務整理です。ですが、減額後の借金を3~5年で完済できる可能性がないと利用しても、良い結果が期待出来ないことを覚えておきましょう。
特定調停のメリット
- 無職でも利用できる
- 持ち家・車を手元に残せる
- 自分で手続きが出来るため弁護士費用がかからない
- 調停後は将来利息がカットされるケースが多い
- 手続き中の返済が止まる
- 返済期間が長い借金は法定利息引き直し計算で借金が減額される
特定調停のデメリット
- 減額後の借金を3~5年で完済出来ないと利用が難しい
- 法定利息の借金は減額幅が小さい
- 無職または継続した収入がないと利用できない
- 裁判で”調停委員”が知識不足・交渉下手だと債権者側の希望通りの結果になる
- 5~7年間ブラックリストに登録される
- 5~7年間は新しく借入れが出来ない
- 5~7年間は新しくローンを組めない
自己破産の特徴
自己破産は、無職でも利用できる・借金がゼロになることが1番のメリットです。借金が無くなる代わりに、7年間はローンが組めない・官報に載るなどのデメリットを差し引いても返済が無くなるのため、生活が楽になります。
自己破産のメリット
- 借金がゼロになる
- 現金を99万円までは手元に残せる
- 手続きを開始すると強制執行が出来なくなる
- 給料差し押さえを受けていても手続きを開始すると中断できる
- 手続きを開始すると債権者からの取り立てが止まる
自己破産のデメリット
- 持ち家や20万円以上の財産を残せない
- 官報に住所・氏名が載る
- ブラックリストに登録される
- 7年間は新しい借入れが出来ない
- 7年間は新しくローンを組めない
- 手続き開始から免責決定までの期間に職業の制限がある
- 手続き開始から免責許可決定までの期間に職業・資格の制限がある
合わせてチェックしておくべきページ
借金問題や疑問は何処に聞けばいいですか?
現在では、弁護士・司法書士・消費社センター・公的機関(区役所・市役所)・法テラスなどで相談が出来ます。おまとめローンや債務整理の疑問点がある場合は、1度足を運んでみてはいかがでしょうか。
もし、電話や直接面会しても相談は気が重いという方は、インターネットからの無料メール相談を利用してみましょう。その後、回答を読んでから債務整理をするか自分で決める方法もあります。
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今回のまとめ
おまとめローンはメリットだけでなく、詐欺・保証人や不動産の担保が必要な可能性・低金利とは限らない・利息制限法による引き戻し計算がされない・低金利の審査に通りにくいなどのデメリットもあるため、利用時は注意しましょう。
借金の返済を楽にするには、債務整理の方が大幅な減額を期待できます。
例えば、任意整理で将来利息をカットする・個人再生で持ち家を残して元金を5分の1~10分の1に減額する・特定調停で安い手数料で借金を減額する・自己破産で借金をゼロにすることも可能です。

おまとめローンをするよりも、債務整理をした方が借金や利息がもっと減らせることがあることも覚えておくと良いと思います。