雨宮先生雨宮先生

自分で全ての手続きから交渉までする代わりに費用が安く済む、”特定調停”のメリットとデメリットを解説していきます。

目次

特定調停のメリット

特定調停メリット

特定調停は、安い手数料のみで財産を売却せずに借金の減額が出来ます。

持ち家(ローン完済済みに限る)を残したいけれど個人再生を弁護士に依頼する費用が用意できない人や、自己破産をすると職業の制限を受ける仕事をしている人に向いている債務整理です。

法律の知識がなくても手続きが出来る

裁判では、調停委員が弁護士(司法書士)の代わりに交渉してくれるため、弁護士(司法書士)に依頼しなくても手続きが出来ます。

つまり、自分に法律や借金問題についての知識がなくても手続きが可能です。

他の債務整理よりも格段に費用が安い

債権者1件につき700円の手数料で申し立てが出来て、弁護士(司法書士)費用もいらないため、債務整理の中では1番お金がかかりません。

取り立てが止まる

特定調停の申し立て手続きをすると、裁判所からの連絡が債権者に届いた時点で取り立てが止まります。
しかし、調停対象外の債権者からの取り立ては止まらないため、注意しましょう。

債権者を選んで調停ができる

自己破産と違い、全ての債権者を対象にしなくても利用できます。例えば、住宅ローンや車のローンのみを残し、他の債権者のみを調停することが可能です。

借金が減額できる

借り入れ当初からの利息を、年18%で再計算をします。この再計算は、借入れ時に高金利であるほど大きく減額されるため、古い借金ほどメリットがあるのが特徴です。

将来利息のカットができる

特定調停の申し立てが成立すると、将来利息がカットされるため毎月の支払額は元金のみとなり、返済が楽になります。
つまり、毎月の返済で確実に元金が減るようになります。

特定調停の手続き開始から成立までの期間は返済が一時的に止まる

調停が成立するまでの期間は、返済義務がいったん止まります。止まっている間は利息は発生しません。

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この間に余裕が出来て無駄遣いをしてしまう方もいますが、この期間に滞納していた国民保険料や住民税などの支払いにまわすようにして下さい。

余裕ができたら、少しでも多く返済することを心がけるようにして、借金とは無縁な生活になるように努力することも大切です。

債権者が調停に出てこない場合でも減額の可能性がある

債権者が調停に出てこない場合がありますが、諦める必要はありません。なぜなら、債権者宛に”債務額確認訴訟”や”債務不存在確認訴訟”の手続きを取ることで裁判に出てこなくても、こちらの主張通りの結果になるからです。

債務額確認訴訟とは

”債務額確認訴訟”とは、債権者に「現在、私が借りている借金残額をはっきりと提示して下さい」という請求する裁判です。

この手続きは、裁判のため債権者は無視をする訳にいかなくなります。
そこで、裁判中に法定金利での再計算や将来利息のカットを要求すれば、借金の減額が可能です。

債務不在確認訴訟とは

”債務不在確認訴訟”とは、債権者に「私が借りているお金は、いっさいありませんね」と確認するための裁判です。

悪徳金融業者の場合は、裁判に出頭してこないため借金がゼロになります。
もし債権者が、裁判に出頭してきても法定利息で再計算をしたり、将来利息のカットを要求することも出来ます。

持ち家や財産を手元に残せる

最後のメリットは、特定調停では、財産を売却せずに借金の減額が出来ます。

しかし、返済中の住宅や車などの債権者を調停対象とする場合は、手放すことになってしまうため注意しましょう。
ローン返済中の財産を残したい場合は、調停対象から外して返済を続けて下さい。

特定調停のデメリット

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特定調停にも、他の債務整理と同様にデメリットがあります。
以下の項目を理解した上で、利用するか、よく考えてみましょう。

債権者が合意しなければ不調に終わる

特定調停は、債務者と債権者の間に第三者が入って、お互いの妥協が無いか話し合って和解を目指すものです。

ですので、特定調停を申し立てても、債権者側が納得できない意志を提示すれば、調停は不調に終わってしまい、手数料だけがかかってしまう結果に終わることもあります。

申し立てから調停まで全て自分一人で行う必要がある

特定調停は、弁護士や司法書士が代理人になることができないので、依頼することができません。

ですので、全ての手続きから裁判所への出頭、債権者との調停をご自身で行う必要があります。法律に関する勉強も少々必要になります。

取り立て行為が停止するまでに時間がかかる

特定調停の場合は、裁判所から債権者宛に通知が届いた時から取り立てが止まります。そのため、他の債務整理よりも止まるのは遅くなります。

任意整理・個人再生・自己破産の場合は、依頼した弁護士(司法書士)が迅速に債権者宛に受任通知を発送するため、取り立てが早く止まります。

借金を3~5年で完済が難しいと利用しても自己破産になる

借金総額が大きく法定利息で再計算をしても、現在の収入では3~5年間で完済が難しいと裁判で判断されると調停は失敗に終わります。

ですから、無収入の方が利用しても返済が出来ないため、メリットがありません。

もし現在無収入の場合は、弁護士費用を誰かに借りて自己破産をするか、仕事を探してから任意整理や特定調停を利用するようにしましょう。

借金の借入れ時期が3年以内の場合は、減額の見込みが薄い

古い借金の場合は、高金利での貸付があるため、法定利息で計算しなおすと大幅な減額が出来るケースがあります。

しかし、現在では法定利息での貸付をしているため、再計算をしても減額の見込みがありません。

例えば、2014年に金利14%で借入れた場合は、将来利息と遅延損害金のカットしか出来ません。ですが、少額でも減額出来ればいいという方には、安い手数料で手続きが出来るため利用する方もいます。

銀行からの借金の場合は、減額の見込みが薄い

銀行からの借金は、法定金利での貸付のため利息制限法で計算し直しても、減額になりません。そのため、特定調停をしても将来利息と遅延損害金のカットしか出来ません。

特定調停成中では過払い金の返還請求ができない

過払い金が発生していても調停中には請求が出来ません。
請求をする場合は、調停成立後に別途で裁判の手続きを行うことになります。

もし、調停が不成立になっても、のちに任意整理をすれば過払い金の請求が可能です。

合わせてチェックしておくべきページ

5年間は新しい借入やローンを組めない

特定調停を利用すると、5年間は信用情報期間(ブラックリスト)に載るため、この期間中は新しい借入やローンを組めなくなります。

合わせて読んでおくと良いページ

調停成立後は、消費者金融の時効が5年から10年に延長される

特定調停が成立した時点で、消費者金融の借金時効はリセットされて、調停成立後は時効が10年に延長されます。

調停委員によって交渉結果が左右されることがある

特定調停は、調停委員が債権者と交渉にあたります。

調停委員の腕に結果が左右されるので、債権者の言い分が通り思ったよりも減額されないケースもあります。
過剰な期待はしないようにしましょう。

調停委員とは?

調停委員とは、弁護士資格を持つ40歳以上の人が選定されます。その役割は、当事者同士が問題を解決するための手助け・円滑な話し合いを可能にして調停を進めることです。

特定調停の裁判では、裁判官と2名の調停委員が立ち合い、債権者と債務者が妥協案を出して解決に向けた話し合いを進めていきます。

返済が滞ると強制執行される

調停で決まった通りに返済出来ず、2回以上延滞すると強制執行が行われて、給料や財産が差し押さえられます。

ですから特定調停をする場合は、余裕を持って返済できる収入がないと、メリットよりもデメリットが大きいため、注意しましょう。

特定調停を失敗しないためにすることは?

特定調停を失敗しないためには、以下の項目に注意する必要があります。

無収入の場合は、仕事が決まってから利用をする

特定調停は、返済できるお金がないと利用する意味がなく、手数料のみが手元から無くってしまいます。
現在無収入の人は、3~5年で返済していけるだけの月収の仕事に就いてからにしましょう。

裁判には清潔感のある服装・髪形を心がける

裁判官や調停委員も感情を持った人間です。そのため、あなたの印象の良し悪しが、判決にも多少なりとも反映される可能性があります。

なぜなら、だらしない格好は「きちんとした仕事に就いているのか?」と思われる・派手な装飾品は「無駄使いしていて返済が滞ったのでは?」という印象を与えるリスクがあるからです。

裁判所に行く時はスーツや清潔感のある服装・髪形で出かけて、良い印象になるよう努力しましょう。

3~5年での完済可能な、返済計画を提示する

現在の収入から、3~5年間で完済できる返済計画を提示する必要があります。

返済計画の例

借金総額
(法定利息で再計算した金額)
月収 毎月の返済額
(3年で完済)
毎月の返済額
(5年で完済)
90万円 21万円 2.5万円
180万円 24万円 5万円
13万円 3万円
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上記の表のように、収入によっては3年間での完済が難しい場合は、5年間での完済で返済計画を提示します。

ただし、充分な収入があるのに5年間の返済計画を出しても、認められない可能性が高いため注意しましょう。

今回のまとめ

特定調停のメリット

  • 法律の知識がなくても手続きが可能
  • ほかの債務整理よりも費用が安い
  • 取り立てが止まる
  • 法定利息で再計算するため借金が減額される
  • 将来利息がカットされる
  • 手続き中は返済が一時的に止まる
  • 債権者が調停に出てこなくても減額の可能性がある
  • 財産を売却しないで残せる

特定調停のデメリット

  • 債権者が合意しなければ不調に終わる
  • 自分一人で手続きから話し合いまで全て一人で行う必要がある
  • 他の債務整理よりも取取り立てが止まるのに日数がかかる
  • 3~5年間で完済出来ない金額の借金だと自己破産になる
  • 3年以内に借入た場合や銀行からの借金は減額の見込みが薄い
  • 過払い金が発生している場合は別途手続きをする必要がある
  • 5年間は新しい借入やローンが組めない
  • 成立後は消費者金融からの借金は時効が5年から10年に延長される
  • 調停委員によって交渉結果が左右される可能性がある
  • 返済が滞ると強制執行で給料を差し押さえられる
雨宮先生雨宮先生

以上、特定調停のメリットとデメリットでした。
ご自身の条件に合いそうならチャレンジしてみても良いと思います。
合わない場合は、他の債務整理方法を検討してみてください。