債務者さんからのご質問
先日3社の消費者金融と銀行カードローンを任意整理しましたが、クレジットカードの利用を残したいので1社分だけ対象から外していました。
ですが収入が減って返済が厳しいので、追加で任意整理することは可能でしょうか?費用はどのくらいかかるのでしょうか?

はい、追加で任意整理をすることが可能です。
ですが任意整理をして減額をしても、返済が難しいときは3社の再和解が必要になる可能性もあります。
目次
任意整理には利用する際の制限期間が無い
任意整理は、自己破産・個人再生・特定調停と違って利用後に一定の期間を空ける必要がありません。
そのため、前の任意整理後すぐでも利用が可能です。
1度和解した3社分についての再検討が必要な可能性がある
しかし、収入が減って追加で任意整理をしたいということであれば、既に任意整理をして和解したぶんの返済も難しくなっていくかもしれません。
こういう場合は、和解済みの債権について、もう1度借金の減額や返済期間の延長が出来ないかを交渉する必要が出てくる可能性もあります。
ですが、基本的に任意整理の再和解はうまくできる可能性は低いです。
1度借金を減らしたのに、もう1度減らして欲しいと相談するわけですから、債権者が「分かりました」と納得してくれるとは考えにくいでしょう。
返済が難しいと弁護士(司法書士)が判断すると任意整理を断られてしまう可能性も出てきます。
そのときは、他の債務整理が出来ないか相談しましょう。
合わせてチェックしておくべきページ

1度和解をした後にもう1度任意整理を交渉しても、相手に良い顔をされません。返済期間を延長することは可能なケースもあります。
弁護士(司法書士)に追加の任意整理を断られるケース
任意整理は、基本的には3年間で完済できる返済能力(収入)がないと判断されると弁護士(司法書士)に断られることもあります。
今回のご質問の例で説明すると、追加でクレジットカード分を任意整理した場合でも、債務者に返済能力(返済していけるだけの収入)が無いと、債権者に交渉を断られてしまいます。
なぜなら、収入に余裕がないのに追加で任意整理をすると、返済途中で支払いが滞る可能性が高いからです。
今回の例(3年間で返済計画をした月計算)
それでは今回の例で具体的にご説明します。
ご相談者さんの毎月の収入が手取り26万円から23万円に減ったとして、追加で任意整理できないか相談して、検証したら以下の表のようになりました。
手取り月収23万円の方が追加で任意整理できるか? | 前回和解した 3社の合計返済額 |
クレジットカード 返済額 |
返済分+生活費 |
クレジットカード 追加任意整理前 |
5.4万円 | 4万円 | 25.4万円 |
クレジットカード 追加任意整理後 |
5.4万円 | 2.9万円 | 24.3万円 |
債務者さんの月収 | 23万円(返済能力不足!) |
給料が減る前は、任意整理後の返済分・クレジットカード返済分・生活費を追加で任意整理しても、ぎりぎり返済を続けていく事ができる状況でした。
ですが給料が減って追加で1社の任意整理ができないか試算したところ、任意整理をしても返済分+生活費が月収を超えてしまうことが分かりました。
前回和解した3社分の借金の再和解も難しい見込みでした。こういう場合は、追加の任意整理を断られる可能性があります。
再和解が難しい場合の対処方法
再和解が上手くいかなかった場合は、生活費を見直して返済分にまわす・家族や知人からお金を借りて、毎月の返済額が減らすことを考えましょう。
節約をして生活費を下げて返済を続ける
現在の生活費では返済金額が少し足りない場合は、携帯やスマホを格安SIMに変更する・外食や無駄使いを控えることで1~2万円程度の節約が可能です。
その金額を返済分にまわすようにすることで、任意整理をしなくても返済が可能になるケースがあります。
頭金・一括返済をして返済金額を下げる
家族や知人にまとまったお金を借りれる場合は、頭金としていくらか支払ったり、支払1社だけでも一括返済をして毎月の返済額を減らす方法もあります。
そうすることで毎月の返済金額が下がり、現在の収入でも返済を続けていけるような場合は、追加の任意整理ができる可能性も高くなります。事前に弁護士(司法書士)に相談をしてください。
任意整理1件の費用
任意整理の費用は、1社あたり3~5万円程度です。事務所によっては、1件のみだと4万円で、2件以上の場合は1件につきプラス2万円という設定をしていることもあります。
1件のみの費用設定については、消費者金融1社だけの債務整理・任意整理はできますか?のページの”弁護士(司法書士)費用の設定を理解しておく”の表を参考にして下さい。
前回の弁護士・司法書士に依頼する場合は、1件のみの費用になるのか事前に確認しておきましょう。
もし追加で任意整理できなかったら
追加で任意整理ができない場合は、返済を続けられないことになりますので、自己破産せざるを得ないでしょう。
自己破産をしたくない場合は、ご自身の生活を見直してもっと節約できないかをよく考える必要があります。
合わせて読んでおくと良いページ

任意整理は裁判所が絡まないので利用制限がありませんが、債務者にそれなりの返済能力があるかが和解交渉時のポイントになります。
節約をすることで返済能力も上がりますが、無理な節約をしても続きませんので、そこをよく考える必要があります。