債務者さんからのご質問
店舗兼住宅で自営業をしています。政策公庫のローンを滞納してしまって、競売開始決定の案内が裁判所から届きました。
この状態で個人再生することはできるのでしょうか?連帯保証人もいます。
政策公庫とその他借金を併せて3000万円です。店舗住宅分の借金は1000万円あります。

住宅を差し押さえられた段階では個人再生の余地はあったのですが、競売開始されるとなると厳しいと思われます。
目次
住宅ローン滞納して9カ月間以内なら個人再生できる余地が大きい
住宅ローンを3ケ月滞納すると、保証会社がローンをかわりに一括返済します。この時点で住宅は差し押さえられます。
そして、保証会社から元の債務者に一括で返済を求める流れですが、返済できないと住宅(店舗なども)を競売にかけられてしまいます。
競売にかけられるまでの時間は、債権者や保証会社によって違いますが、半年~1年ほどです。
保証会社が返済を肩代わりして6ケ月以内は住宅ローンの巻き戻しができる
ですが、保証会社が返済を肩代わりして6ケ月以内に個人再生をすれば、”住宅ローンの巻き戻し”をすることができます。
1度保証会社が肩代わりしたローンの返済分を、債権者から一旦返してもらって、住宅(店舗など)の持ち主が債務者に戻ります。つまり、住宅の差し押さえを解くことができます。
そして、個人再生手続きを開始して、再生計画を組んでいきます。
ただし連帯保証人には請求される
個人再生の小規模個人再生が認められれば、住宅ローンを除く借金が5分の1~10分の1に減らすことができます。
小規模個人再生の減額幅
借金額(住宅ローン除く) | 減額幅 |
100万円未満 | 減額無し |
100万円以上500万円未満 | 100万円に減額 |
500万円以上1500万円未満 | 5分の1に減額 |
1500万円以上3000万円未満 | 300万円に減額 |
3000万円以上5000万円以下 | 10分の1に減額 |
今回のご相談では店舗住宅のローン残高が1000万円、その他借金が2000万円ということですから、その他借金の部分が300万円に減額されることになります。
ですが、2000万円から300万が減額された差し引き1700万円の部分は、連帯保証人に一括請求されることになります。
元の債務者が自己破産をしても同様で、支払えなかった借金全額が連帯保証人に請求されます。
連帯保証人が借金を返済できなかった場合は、連帯保証人も個人再生か自己破産をすることになります。
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借金滞納は放置するほど傷口が大きくなる
借金をすることは事業をするうえで必要なことですが、滞納して返済できないままにするとどんどん傷口が大きくなってしまいます。
連帯保証人がいればさらに大きな迷惑がかかってしまいます。
既に競売開始通知がされていれば、おそらく回避できる方法は無いと思われますので、連帯保証人に謝って早く自己破産を申し立てて、借金を全てゼロにしてしまった方が良いと思われます。
ですが、返済を滞納してまだ9ケ月以内であれば、店舗住宅を守れる可能性はありますので、早めに弁護士にご相談頂く事をお勧めします。

厳しいことを書きますが、事業で挽回が難しい場合は自己破産をして店舗住宅を処分してしまった方が、連帯保証人への迷惑も少なくて済む可能性があります。