
自己破産申し立てをして、裁判所が受理すると取り立てを止めることが可能になります。
その手続きをした後も、取り立てが止まない場合は、金融庁・財務局に苦情の申し立てをするか、警察に刑事告訴をします。
目次
自己破産申し立て後に業者からの取り立てが厳しくなったら?
もし自己破産申し立て後に、業者からの取り立てが厳しくなったら、金融庁・財務局に苦情または、行政処分の申し立てをしましょう。
それでも、取り立てを止めない場合は、警察に貸金業法の取立規制違反による、刑事告訴をします。
自己破産申し立て後に業者から厳しい取り立てをされた例
実際に、自己破産申し立て後に業者から、厳しい取り立てをされた例をご紹介します。
自己破産後の取り立て例1
毎日、早朝(6:00)と夜(23:00)に自宅に訪問されて、大きな声で「借金を返してくれるまで帰らんぞ!」「親戚中に連絡して金の都合をしろ!」と罵声を浴びせられました。
会社に出勤する時間になっても、玄関前に居座っているため会社に連日の遅刻をして、信頼を失った。近所に住む住人に借金をしていることを、知られてしまった。
自己破産後の取り立て例2
毎日アルバイト(飲食店)先に取り立てにきて、借金の催促をして支払えない旨を伝えても止めてくれない。アルバイト先の店長が迷惑だと注意をしたら、「おたくが代わりに払ってくれるなら、もう来ない」と閉店時間まで居座られた。
生活するための収入源であった、アルバイト先を辞めざるをえなくなった。アルバイト先の店にも、しばらく常連客の足が遠のいてしまった。
自己破産後の取り立て例3
破産者から回収が難しいと判断し、実家の親宛に借金の催促の書面を送付されて「自分の子どもの借金なんだから、親が払うのは当たり前だろう」と催促の電話を頻繁にかけてきた。
老齢の両親に、電話が掛かってくるだけで怯えるほどの、トラウマを残してしまった。
自己破産後の取り立て例4
自宅のドアに、「借金返せ!」「とうとう嫁にも逃げられたな!」と書かれた張り紙を貼られた。毎日、剥がしていたがその度に、枚数が増えていくので諦めた。
近所の住民に借金の事実・嫁が家を出たことが知られてしまった。
これらの取り立ては違法ですので、脅しに負けて支払いをしないようにしてください。
自己破産申し立て後に、一部の債権者へ返済をすると、免責不許可事由になるため、免責不許可になる可能性があるのです。この取り立てをされたときに、支払いをしないように注意しましょう。
自己破産申し立ての事実を通知したにもかかわらず、取り立てが止まない場合は、金融庁・財務局・警察に相談しましょう。

このような例の取り立てを受けた場合は、その都度メモや録音をするなどして記録を残しておきましょう。弁護士や警察、金融庁に相談するときに役立ちます。
厳しい取り立ての記録を残しておく
金融業者から、厳しい取り立てを受けたときは、その記録を残しておきましょう。なぜなら、刑事事件になった場合、証拠として使えるからです。
取り立ての記録を残しておけば、いざという時に役に立つ!
- 通話の記録:債権者からの罵声や脅しを録音して残す
- 写真に撮っておく:張り紙や落書きを写真にして残す
- FAXや電報:そのまま現物を残す
- メモしておく:1日に3回以上の訪問があったときはメモに詳細を残す(日時・内容・相手の氏名など)
迷惑な取り立てに対して相談する場合、相手に「そんなことしていません」と言い逃れをされないよう、証拠を残すことが重要となります。
違法な取り立てを受けたときの相談先と方法
金融庁に相談(電話・FAX・WEB・郵便)
【関連リンク】金融サービス利用者相談室
財務局に相談(電話)
【関連リンク】金融取引に関する苦情相談窓口
警察に相談(電話)
#9110:警察相談専用電話番号に電話する。
検察に相談(電話)
【関連リンク】被害者ホットライン連絡先

緊急を要する事態のときは、警察110番に電話をかけてください。例えば、債権者が自宅から退去してくれない・勤務先で迷惑行為をして居座っている場合などは、すぐに警察に助けを求めましょう。
個人で自己破産手続きを進めている場合、債権者への通知を忘れずにしましょう
もし自分一人で自己破産申し立てをした場合は、債権者からの取り立てを止めるために、自己破産申立の通知をする必要があります。
なぜなら、裁判所が債権者へ通知するタイミングは、自己破産手続き開始の決定がされてからだからです。手続き開始決定までは、3カ月かかることもあります。
この裁判所からの通知より前に債権者に知らせることで、迅速に取り立てを止めることが可能になるのです。
【関連ページ】自己破産申し立てが受理されたら債権者に通知は自動的に送られる?

この通知は、郵便以外にFAXでの送付も認められています。弁護士を代理人にしている場合は、代行で債権者が通知をしてくれます。
今回のまとめ
自己破産申し立て後に、業者からの取り立てが厳しくなったときは、金融庁・財務局に苦情・行政処分の申し立てをしましょう。
警察に貸金業法の取立規制違反による、刑事告訴をします。
違法となる取り立てをされたときは、証拠となるものを残しておくことも重要です。

個人で自己破産の手続きをした場合、申し立て後に一部の業者から取り立てを受ける可能性もあります。
ですが、弁護士・司法書士に依頼している場合、業者も訴えられるリスクが高いため、自己破産申し立て後に取り立てをすることは、極めて少ないのです。